【なぜブラインドグッズは売れる?】“推し活”とエンタメ業界のIP戦略を解説

「なぜファンはランダムグッズを何個も買うのか?」――その答えは、単なるファンの心理だけでなく、エンタメ業界の命綱とも言える「IP戦略」と「収益構造」にあります。K-POPのトレカ、アニメのアクスタ、舞台のブロマイドから芸人グッズまで、ヒットを生み出す「仕掛け」と「SNS拡散前提のマーケティング」を徹底解説。


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最近、K-POPのトレカやアニメの缶バッジ、舞台のブロマイドなど、“中身がランダム”なグッズを見かけることが増えていませんか?
こうした「ブラインドグッズ(ランダムグッズ)」は、今やエンタメ業界において定番の販売形式になっています。

実際、
・K-POPのトレカ
・アニメのランダム缶バッジ
・舞台のブロマイド
・芸人ライブのランダムステッカー
など、ジャンルを問わず広がっています。

さらに最近では、
・サンリオ
・ポケモン
・ちいかわ
・POPMART系フィギュア
など、“大人がキャラクターグッズを集める文化”も当たり前になってきました。

では、なぜエンタメ業界は“ランダム形式”を重視するのでしょうか?
今回は、“推し活”文化とも深く関わるブラインドグッズについて、エンタメ業界のIP戦略という視点から解説していきます!

そもそもブラインドグッズとは?

そもそもブラインドグッズとはどんなものを指すのでしょうか?

ブラインドグッズは、中身の見えない販売形式でグッズがランダムに封入されているものを指します。
色々なジャンルのコンテンツで採用されている販売方法で、具体的なグッズの種類としては、K-POPトレカ、缶バッジ、アクスタ、ブロマイド、ガチャなどがあります。

開封するまでどの種類のグッズが出るか分からないので、開封体験そのものがコンテンツになっている側面があります

なぜ“ランダム”にすると売れるのか?

推しを引き当てたい心理

なぜ、ランダム商品は売れるのでしょうか?

まずは何よりも“推し”のグッズを引き当てたいから」ということが理由に挙げられますよね。
推しのグッズのみ欲しいけど、ランダム商品だから何個も買っているという方も多いのではないでしょうか。
また、「全種類コンプリートしたい!」という気持ちから、ランダムを沢山買う方もいるかと思います。
ランダムですぐに全種類を集めることは難しいので、結果何度もランダム商品を買い足すこともあるかもしれません。

いずれにしろ欲しい物を「神引き」する瞬間まで買ってしまう心理が、ランダム商品が売れている理由のひとつになっています。

 

開封そのものが楽しい

さらに、開封そのものの楽しさも理由に挙げられます
何が出るか分からないからこそのワクワク感やサプライズ性はブラインドグッズならではの魅力です。
一人ではもちろん、友達同士でも楽しさを共有できることから、ファン仲間と集まって開封する人も多いかと思います。
友達とのイベントを作り上げることが出来るという魅力がありますね。

ただの消費行動ではなく、体験が付随している点がポイントです。

 

交換文化が生まれる

ランダム商品で欠かせない文化が、「交換」の文化ですよね。

現地の物販でグッズを購入し、その場で交換することもありますが、最近はSNSのハッシュタグを活用して交換を呼びかけることが主流になりつつあると感じます。

トレードの文化により、ファン同士の新たなコミュニティが生まれたり、仲間同士で助け合うことが出来るため、ファン同士のつながりにも、交換の文化は重要な要素となっています。

SNS時代とブラインドグッズの相性

開封動画が拡散されやすい

ブラインドグッズはサプライズ性があるため、動画コンテンツとの相性が非常に良いですよね。

何が出るかわからないワクワク感を画面上で味わえる「開封動画」は中毒性があり、SNSでも伸びやすい傾向にあります。
特にTikTokやYouTube Shortsなどのショート動画ではテンポよく視聴でき、開封そのものがコンテンツとして成立しています
最近では開封配信も人気で、リアルタイムで一喜一憂する様子がそのまま拡散されることも多いです。

このように、ブラインドグッズは「開封がコンテンツ化」している代表的な例といえます。

 

「神引き」がSNS映えする

ブラインドグッズの中でも、「神引き」と呼ばれる推しを自引きした瞬間や、レアアイテムを引き当てた瞬間は特にSNS映えします

レアな場面を引き当てた高揚感は画面越しでも伝わりやすく、見ている側も自分のことのように盛り上がれるのが特徴です。
こうしたリアクション文化も拡散力を高める要因になっています。

また、喜びや驚きのリアクションそのものがコンテンツとして成立しており、短い切り抜き動画がXなどでバズるケースも増えています。

なぜ大人もキャラクターグッズを集めるのか?

最近はガチャガチャボンボンドロップシールのブームなどがあり、様々なキャラクターが人気ですよね。

そして今回の流行りの特徴は、大人がキャラクターに熱中していることです。
従来サンリオポケモンなどのキャラは子供向けとされていましたが、なぜ今大人がキャラクターグッズを集めているのでしょうか?

大きな分岐点になったキャラクターは「ちいかわ」だと感じています。
ちいかわは元々X上で投稿されていた漫画から人気になったキャラクターです。
そのため、主にちいかわを知っているのは大人が殆どだったのです。
大人の中でちいかわが爆発的に人気になったことで、大人に需要があるキャラクターグッズが生産され、現在のブームに繋がるようになったのではないでしょうか。

 

グッズは“自己表現”にもなっている

街を歩いていても、カバンやポーチなどにキャラクターグッズを身に着けている人が多く見受けられますよね。
その他にも、推しカラーの服や鞄、デスク周りにフィギュアを置く、スマホケースの裏にトレカを入れる、カフェでぬいぐるみの写真を撮る(ぬい撮り)、痛バッグなど、そういったグッズを身に着けることが、自己表現の1種になっているのではないでしょうか。

「これが好き!」と周囲に示すことで話のきっかけになることもありますし、個性として捉えられますよね。
「好きな世界観を持ち歩く文化」が浸透してきていますよね。

 

SNS時代で“かわいい”が共有される

SNSでの「映え」文化が定着している現代では、写真を通じて“かわいい”が共有されるスピードも非常に速くなっています

特にInstagramなどの写真文化では、インスタ映えするビジュアルや世界観が重視され、投稿をきっかけにキャラクターやグッズを集める人も増えています。

また、SNS上で見かけた“かわいい空間”を再現するような部屋づくり文化も広がっており、インテリアやグッズの選び方にも影響を与えています。

このようにSNSの拡散力によって、“かわいい”が日常的に共有される時代になっているのです。

なぜエンタメ業界はグッズを重視するのか?

エンタメ業界では、グッズ販売が非常に重要な収益源になっています。

特にライブやイベントでは、会場費やスタッフ・出演者のギャラなど多くのコストがかかり、チケット収入だけで利益を出すのはなかなか難しいです
そのため、グッズによる収益が大きな役割を担っています
これはテレビ業界でいう「放送外収益(グッズ・配信・イベントなど放送以外の収益)」と同じ考え方で、エンタメ全体でも重要な収益源になっています。

グッズ販売は、ライブ収益だけでなく、イベント収益や放送外収益を支えるために欠かせない収入源として位置づけられているのです。

つまりグッズは、エンタメを安定して継続させるための“重要なビジネス”といえます。

 

今のエンタメは“IPビジネス”

現代のエンタメでは、IPビジネスの重要性が高まっています。

IPとは「Intellectual Property(知的財産)」のことで、作品・キャラクター・アイドル・芸人といったコンテンツそのものの価値を指します。
これらをグッズ化したり、イベントや配信などへ展開したりすることで、収益を生み出すのがIPビジネスです。

ひとつのコンテンツを多方面に展開することで、長期的かつ安定的な売上につながり、エンタメ業界全体でも重要視されています

 

グッズは“好き”を形にできる

グッズは、単なる商品ではなく「好き」という感情を形にした存在でもあります。

所有欲を満たすだけでなく、推し活の一部として楽しんだり、ライブやイベントの記念として手に取ったりと、感情と強く結びついているのが特徴です。
そのため欲しいという気持ちが生まれやすく、需要が安定して伸び続けています。

K-POP・舞台・アニメ・芸人…ジャンルごとの違い

K-POP|トレカ文化が巨大市場に

K-POPで主流となっているグッズは、トレカぬいぐるみなどです。

特にトレカはアルバム特典として封入されることが多く、メンバーのトレカがランダムで入っている仕組みになっています。
そのため「どのメンバーが出るかわからない」というランダム性が購買意欲につながり、複数購入(いわゆる“積む”文化)も生まれています

また、サイン会ヨントン(テレビ電話イベント)に参加するためにアルバムを複数購入する文化もあり、結果としてトレカの流通量や交換文化が活発になっています。
海外ファン同士での交換も盛んで、グローバルなコミュニティ形成にもつながっています。

最近では、メンバーがデザインしたぬいぐるみなども人気で、ランダムではなくても「コンプリートしたい」という需要が生まれています。

 

舞台|ブロマイド文化

舞台ではパンフレットポスターなどのグッズがありますが、推し活の中心となるのはブロマイドです。

ブロマイドは役者のコンセプトフォトや舞台上の姿を切り取った写真であり、撮影ができない舞台の瞬間を手元に残せる点が大きな魅力です。
また、役ごとにデザインやビジュアルが異なり、会場限定で販売されるケースも多く、コレクション性の高さも特徴です。

さらに、劇団によってはブロマイドの売上が役者本人の収益につながる場合もあり、応援の意味合いがより強くなるのも特徴です。

 

アニメ|缶バッジ・アクスタ文化

アニメグッズは非常に多岐にわたり、缶バッジアクリルキーホルダー(アクキー)アクリルスタンド(アクスタ)フィギュアなどが代表的です。

アニメファンの間では、痛バッグや祭壇といった“推しを飾る文化”も広がっており、多くのグッズを集めて世界観を作る楽しみ方が定着しています。

また、イベント物販も重要な要素で、限定グッズを目当てに会場へ足を運ぶファンも多く、グッズそのものが体験の一部になっています。

 

芸人ライブ|ランダムステッカーやチェキ

お笑い芸人の世界でも推し活文化が広がっており、ライブ会場でのグッズ販売が一般的になっています。

若手芸人のライブではチェキの販売が行われることもあり、単独ライブではステッカーアクスタトレカなどが展開されるケースもあります。
特に地下ライブシーンでは、手作り感のあるグッズやランダム性のあるアイテムも多く、ファンとの距離が近いのが特徴です。

こうしたグッズはライブ限定で販売されることも多く、その場でしか手に入らない特別感が、応援文化をより強くしています

エンタメ業界志望者が見ると面白いポイント

グッズ設計

ジャンルごとに多様なグッズが展開されている中で、エンタメ業界を志望する際に注目したいポイントの一つが「どの商品を、どのターゲットに向けて設計しているか」です。

グッズはすべて需要を前提に作られており、「どの層に売るのか」「何を流行らせたいのか」「あえてランダム性を持たせるのか」といった設計意図があります。
こうした視点で見ることで、単なる商品ではなくマーケティングの仕組みとして理解できるようになります。

 

SNS拡散前提の設計

最近のグッズは、SNSでの拡散を前提に設計されているものが増えています。

開封したくなる仕掛けや、写真・動画を撮りたくなるビジュアルなど、「思わず投稿したくなる要素」がどこにあるのかを見ることで、現代のファンが何を求めているのかが見えてきます。

つまりグッズは“持つもの”であると同時に、“拡散されることを前提としたコンテンツ”にもなっているのです。

 

イベントとの連動

グッズは単体で完結するものではなく、イベントと強く連動しています。

会場限定グッズや購入特典、特定条件で参加できる企画など、来場を促す導線として設計されているケースも多いです。
こうした仕組みによって、グッズはイベント体験そのものを強化する役割も担っています。

推し活市場はなぜここまで大きくなった?

推し活市場がここまで拡大した背景には、推し文化の定着と自己表現の多様化があります。

特にコロナ禍をきっかけにエンタメ需要が一気に高まり、「推し」を持つことが日常化しました。
またSNSの普及により、自分の好きなものを発信することが個性や自己表現として機能するようになっています

その結果、グッズは単なる“モノ”ではなく、“購入体験や感情そのもの”を消費する対象へと変化し、市場が大きく成長しました。

まとめ

ブラインドグッズは“開封体験”も含めたエンタメであり、推し活文化とも非常に相性が良いコンテンツです。

SNS時代だからこそ拡散されやすく、大人のキャラクター文化も含めて市場は拡大し続けています。
また、現代のエンタメ業界ではIPビジネスとしての展開も重要な要素となっています。

ぜひ次にグッズを買う時は、“なぜこの売り方なのか?”にも注目してみてください!