ディレクターはどんな仕事をしている?
テレビ番組の制作を志す場合、スタートはAD(アシスタントディレクター)です。
その名のとおり、番組制作の現場監督であるディレクターを補佐します。
※ADの仕事内容は、以下の記事でも詳しく説明しています。
「テレビ番組制作の裏方「AD」の仕事内容を徹底解説!」
では、ADが補佐しているディレクターはどんなことをしているのか
今回は、ディレクターの仕事内容を詳しくみていきます!
ディレクターの仕事内容
ディレクターは、テレビ番組の制作における企画・現場・編集の責任者です。
そのため、基本的に番組内容は、ディレクターが中心となって進めていきます。
では、具体的にはどんな仕事をしているのか、番組が放送されるまでの流れとともに合わせて紹介していきます!
会議
番組の会議に参加します。会議といっても全体会議・分科会など種類がたくさんあり、毎週同じ時間帯に行われる全体会議(定例会議)、担当するネタについて話し合われる分科会には、基本的には全て参加しなければなりません。
そのため、番組を掛け持ちしているディレクターは会議だけで月に十何回という人もいます。
会議では番組全体のスケジュールの確認のほか、企画案、ネタ案、キャスティング案などについて話し合われます。そのためディレクター、作家、リサーチャーなどには”宿題”と呼ばれる案出しが事前に求められており、会議までにリサーチなどを行い、資料にまとめて話し合います。
たとえば、次のロケで演者Aさんとゲストをよんで○△商店街で街ブラロケ企画をやろうというところまで前回の会議で決まっているとすると、今回の会議はその詳細を話し合う会議となります。
ADさんに○△商店街にどんなものがあるか、演者Aさんについてもリサーチしてもらい、それを元にどんな街ブラロケにするか、お店や商品紹介は何がよさそうか考えたり、演者Aさんと一緒にゲストとして出てもらうには誰がいいか、キャスティング案を考えておき会議で話し合います。
ロケ
まずは、会議を受けて決定したものを仕込んでいきます。
ADにどんな場所で何がしたいかを伝え、ロケ場所や必要なものを準備してもらいます。
内容によってはディレクターからロケ先に連絡することもありますし、ロケハン(ロケ先の下見)にもADと一緒に行くこともあります。
ADさんに仕込みや必要な準備をしてもらっている間にロケで使用する台本の作成をします。
ここがディレクターの腕の見せ所のひとつとなる、センスが問われる部分です。
こだわればこだわるほど時間もかかりますが、制作の元となる部分を考えるため、楽しい時間でもあります。作家さんと一緒に考えたりすることも多いです。
ディレクターはロケ中、現場での監督的な役割を行っています。
カメラマンなど技術に指示を出したり、ADにも指示を出したりして、ロケが円滑に進むように心がけます。
また、演者さんと打ち合わせをしたり、ロケ中にもカンペなどを使って直接指示を出します。現場では思いもよらないことが起きることもあるため、より面白く、よいVTRになるように臨機応変に対応する力も問われます。
ディレクターは演者さんと直接関わる機会が多いため、ここで仲良くなることもあります!
サブ出し編集
ロケが終わるとスタジオ収録で演者さんが見るVTRを作成します。
それをサブ出し編集といいます。
まずは、ディレクターがPC上で Premiere Proなどの編集ソフトを使用して、オフライン編集をします。ロケ素材の中から使いどころを厳選し、編集します。
どこの部分をどのように編集するかによってもVTRの面白さは全然違ってくるので、センスが必要となる作業のひとつです。
その後、ディレクターのオフライン編集を元に加工、テロップ入れ、音入れなどを編集所で行います。
音の編集の際には、ナレ撮りというナレーションの収録を行います。
編集した動画とディレクターの書いた台本をナレーターさんに見てもらいながら、収録を行っていきます。
映像編集の際、ディレクターはナレーションの尺を想定して編集しているため、
ナレーションを読み始めるタイミングのキュー出しをナレーターさんに合図するという仕事もあります。
加工やテロップのフォントや出し方、ナレーションの文章や音の入れるタイミングなど、細かい部分でもスタジオの演者さんの反応が変わってくるので、細かくチェックしてこだわります。
スタジオ収録
ロケのときと同様に現場監督的な役割を果たします。
スタジオ収録ではフロアディレクターというまとめ役の指示のもと、収録前から進行していきます。
・FD(フロアディレクター)
スタジオの取り仕切りを行っていて、カメリハ(収録前のカメラリハーサル)では台本に沿って流れ確認、導線確認を行い、カメラマンなどの技術、美術と連携をとります。収録中は、カンペで演者さんに指示出しを行っています。
また、スタジオ以外にもサブとよばれる副調整室からインカムを使って指示を行う役割もあります。
FD以外のディレクターは、FDの指示に従いながら、臨機応変に対応したり、収録前に演者さんと打ち合わせを行います。
収録では自分が編集した企画のVTRを見て演者さんが笑ってたり、反応していたりするのをみるとなんとも言えないやりがいが感じられます!
本編集
スタジオ収録が終わると最後に視聴者が見るVTRの編集(本編編集)を行います。サブ出し編集と、収録素材を放送用の長さに編集します。
サブ出し編集と同様にオフライン編集から行うのですが、今回は放送用の長さに必要があるため、決まっているCMの回数や長さを確認しながら、編集していきます。
オフライン編集後、編集所で画の編集(EED)、音の編集(MA)を経てVTRが完成します。
サブ出し編集時よりも、多くの人が見るVTRとなるためモザイクが必要なものはモザイクのチェック、テロップ文言のチェックもより慎重に行います。
ディレクターのセンスが活かされる最後の工程になるため、テロップのフォント、色などの細部までこだわりチェックしていきます。
まとめ
今回は、ディレクターの仕事を番組が放送されるまでの流れとともに合わせて紹介しましたが、いかがでしたか?
ADの仕事内容よりも、よりクリエイティブな仕事でセンスも大事なこと、現場、編集の責任者として進行、確認作業が必要なこともお分かり頂けたかと思います。
クリエイティブな内容が多く、明確な答えがないため、根気のいる作業も多いですが、
自分自身の企画やネタ、編集したVTRが演者さんや世の中の人々がみて楽しんでもらえるということはとてもやりがいがあります!!
ディレクターを目指している方は、まずはADとして経験をたくさん積み、ディレクターの仕事がどのようなものか理解していきましょう!