アカデミー賞受賞で話題!映像作品に欠かせない視覚効果・VFXとは?

視覚効果・VFXとは? 今年3月にあった『第96回アカデミー賞(2024)』で日本作品が邦画・アジア映画界で初の『視覚効果賞』を受賞するという偉業が達成され、何かと話題にのぼっているのがVFX(視覚効果)。でも実際は「V...


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視覚効果・VFXとは?

今年3月にあった『第96回アカデミー賞(2024)』で日本作品が邦画・アジア映画界で初の『視覚効果賞』を受賞するという偉業が達成され、何かと話題にのぼっているのがVFX(視覚効果)。でも実際は「VFXって何?」と思っている人も多いでしょう。そこで、今回は「VFX」はどんな仕事なのか、解説していきたいと思います。

VFXとは現実に存在するものと架空の映像を合成し、あたかも現実に存在しているかのような映像を作り出す仕事

VFXとは、映画やドラマといった映像作品におけるCGを用いた視覚効果「VFX(Visual Effects)」を作成して、現実では再現できない映像に仕上げる仕事です。現実に存在するものと架空の映像を合成し、あたかもそれらが現実に存在しているかのような映像を作り出すことができます。例えば、映画などでの大規模な爆発シーンや、ゲームなどで魔法を使った際の光の演出などを作成しています。

いまや映像制作の現場にVFXクリエイターは必須の存在

現在では、映画やドラマ、ゲームを含め、さまざまな分野でVFXが広く使われており、いまや映像制作の現場にVFXクリエイターは必須の存在と言っても過言ではありません。また単なる映像作品だけでなく、VRやプロジェクションマッピングなど、新たな表現技法が生まれる中で、VFXクリエイターの活躍の幅はどんどん広がっています。
キャラクターの3Dモデルを制作するCGデザイナー(クリエイター)と異なり、VFXデザイナーは、物理シミュレーションを用いたモデリングを駆使して、実写映像とCG技術を合成することが多いです。

VFXクリエイターの仕事って具体的には何をするの?

映像制作の現場において、3dsMAX、Maya、AfterEffects、Photoshopといった映像ソフトを使いながら、収録された映像に効果をつけるのが、VFXクリエイターの主な役割です。基本的には細かい指示の入った依頼書に沿って効果をつけていきますが、より臨場感や迫力のある映像が作れるかどうかは自分の技術次第。エフェクトに関する知識だけでなく、元となる映像に対する知識や、現象に対する柔軟なイメージを働かせることが大切です。

【VFXデザイナーの代表的な仕事内容】
・フルCG映像の作成
・実写との合成
・映像加工
・実写の余分な部分の消し込み

実写では撮影不可能なカットをフルCGで作成

実写で撮影することが不可能なカットを作成します。2Dで作成することも多いですが、MAYAやMAXなどのツールを使って3Dで作る場合もあります。

CGと実写を合成する

NukeやFlareなどのコンポジットツールを用いて、CGで作成した背景に人物を合成したり、CGで作成したオブジェクトを実写に合成したりします。撮影条件によりグリーンバックなどの撮影ができない場合は、マスクを手描きで作成したり、動きに合わせて1コマずつ調整していくこともあります。

イメージに合うように映像を加工していく

撮影素材に対して、イメージに合うように加工を施します。

実写の余分な部分の消し込み

時代劇の撮影時に移り込んだ近代的な建物やワイヤーアクションのワイヤーなど、撮影素材には実際は要らない物も映ってしまいます。VFXでは、こういう物の消し込みもします。

VFXクリエイターにはどんなスキルが求められるの?

VFXクリエイターには、映像作品が好きな人、発想力や提案力がある人、円滑なコミュニケーションができる人、細かい作業が好きな人が向いていると言えます。

VFXを効率よく予算内に作成するための、具体的な提案ができる能力

VFXを作成するにあたり、どのように撮影するかを予め決定できることが大事です。例えば、VFXで合成するカットでは映像の合成がしやすいように、グリーンバックで撮影するといった具体的な提案をすることで、作業が効率良く進みます。日本のVFXが世界から注目される理由は低予算でハイクオリティを実現していることです。VFXの質が映画の出来を左右するとも言われるなかで、VFXありきの撮影方法の提案にもクリエイターのスキルが問われます。

視覚効果に関する専門的な能力

視覚効果は3dsMAX、Maya、AfterEffects、Photoshopといった映像ソフトを用いて作っていくため、それらのソフトを使いこなせる専門的な知識や技術を磨いておかなければなりません。また、新しい技術や表現方法に対するアンテナも高く張っておき、時代の変化に合わせて自分自身も変わっていく姿勢が求められるでしょう。

作品の世界観を理解し共有するためのコミュニケーション能力

VFXクリエイターはディレクターと相談しながら作品の世界観やカットの印象などを作り上げるため、相手の意図を汲み取り、自分のイメージを分かりやすく伝える高いコミュニケーション能力が必要です。

1つ1つの細かい作業を集中して根気よく行う能力

VFXクリエイターが作る視覚効果のクオリティは、作品全体の評価を左右します。そのため、1つ1つの細かい作業を集中して根気強く行えることが求められます。

応用編:VFXクリエイターはデッサン力・立体造形力が特に求められる

VFXは、それがまるで現実に起こっているかのように錯覚させることができてこそ、真価を発揮するものです。そのためには、単に映像ソフトを使いこなせるだけでなく、立体的な表現ができる高いデッサン力や立体造形力も必要になってきます。

VFXクリエイターになるためには

VFXクリエイターになるために必要な学歴や資格は特にありません。ただし、専門的な知識やスキルを問われる仕事でもあるため、未経験からチャレンジするのは難しいでしょう。まずは専門学校や通信講座等で、CGに関する知識やVFXに必要なソフトの技術を磨いておくのが良いでしょう。その上で、映像制作を行う会社へと就職し、現場でスキルを向上させていきながら、一人前のVFXクリエイターを目指していくのが効率的です。

まとめ

現在、日本のVFXは世界中から注目されています。ハリウッドのVFX制作には膨大な人員や時間が使われる一方、日本のVFX制作の技術は、限られた予算内で、古典的なトリック撮影と最新のデジタル技術を融合させることでハイクオリティの作品を生み出しています。日本の現場で学んで、海外に飛び立つこともできるかもしれません。業界が波に乗っている今、VFXの世界へ飛び込んでみるのはどうでしょうか。