TBSの強みとは?事業内容やほかの民放キー局の特徴を紹介

テレビ業界への就職や転職を考えている方にとって、企業分析は重要です。さまざまなテレビ局があるなかで、テレビ業界大手のTBSを候補にしている方もいるのではないでしょうか。 企業分析をしっかり行うことで面接対策にも役立てられます。そこで今回は、TBSの強みや特徴、関連情報などについてご紹介します。


この記事は約8分で読み終わります。

TBSの強みはドラマ制作

TBSはドラマ制作に定評があるテレビ局です。特に、日曜劇場はドラマの放送枠のなかで一番の長寿番組であり、連続テレビ小説や大河ドラマよりも歴史がある番組として知られています。

社会派ドラマやファミリードラマ、恋愛ドラマなど幅広いテーマのドラマを制作し、数々のヒット作が生まれました。

なかでも、人気ドラマのひとつである「半沢直樹」では、痛快な展開と印象的な決めゼリフに感情移入した方も多いのではないでしょうか。日曜劇場以外では、コミカルな恋愛ドラマの「逃げるは恥だが役に立つ」が、人気のドラマのひとつとして社会現象を巻き起こしました。

また、2023年度は『アトムの童』が、「コンテントアジア賞 ベストアジアドラマ部門 最優秀賞」を受賞するなどの功績も残しています。

TBSホールディングスの会社概要

TBSテレビは「株式会社TBSホールディングス」の子会社のひとつです。2023年3月期のTBSホールディングスの売上高は3681億円でした。詳しい会社概要については以下のとおりです。

【会社概要】

会社名 株式会社TBSホールディングス(TBS HOLDINGS, INC.)
代表者 代表取締役社長 佐々木 卓
所在地 東京都港区赤坂5丁目3番6号
創業設立年月 1951年5月10日(創立登記5月17日)
資本金 54,986,892,896円
事業内容 認定放送持株会社

傘下子会社及びグループの経営管理、不動産事業

従業員数 58名(2023年3月31日現在)
平均年齢 47.2歳(提出会社)(2023年3月31日現在)
平均勤続年数 19.7年(提出会社)(2023年3月31日現在)
平均年間給与 14,596,000円(提出会社)(2022年3月31日現在)
福利厚生 社員食堂、保養所、構内診療所、事業所内保育所「はなさかす保育園」など

TBSホールディングスの事業内容

TBSホールディングスの主な事業は、「メディア・コンテンツ事業」「ライフスタイル事業」「不動産・その他事業」の3つです。ここからは、それぞれの事業内容について解説します。

メディア・コンテンツ事業

メディア・コンテンツ事業では、番組制作に関わる事業全般を取りまとめています。担当業務は以下のとおりです。

【担当業務】
・映像技術
・美術制作
・音声技術
・照明技術
・カメラ取材
・調査・研究
・ビデオソフトなどの企画・制作
・イベントの企画・運営など

メディア・コンテンツ事業は、TBSテレビやTBSラジオを含めて14の子会社で構成されており、事業全体の売上高の75.8%を占めています。

また、2022年度に動画配信事業を手掛ける「U-NEXT」の株式を20%取得したことで、テレビだけでなく動画配信事業も強化していくことが発表されました。「U-NEXT」は有料会員数、配信コンテンツともに、国内最大の動画配信プラットフォーム事業会社です。

この提携により、外部コンテンツの調達力やオリジナルコンテンツの企画・制作力の向上が可能になります。大型イベントの配信や配信先行ドラマなど、放送と配信の両方から事業拡大を目指しています。

ライフスタイル事業

ライフスタイル事業は9つの子会社で構成されていて、通信販売や雑貨小売、化粧品製造やその販売などを展開しています。売上高は全事業の2番目に多く、18.5%です。

ライフスタイル事業では、インバウンド需要や海外市場の需要分析などを行い、トレンドを予測し、商品開発に活かしています。さらに、集客媒体や販売経路の拡大、EC強化を行い幅広いお客様へ届けることで新たな価値創造を目指しているのです。

また、子ども向けの映像コンテンツ教材のニーズの高まりから、知育・教育事業に本格参入することが発表されています。幅広い事業展開をするため、2023年6月に「やる気スイッチグループホールディングス」を子会社化しました。

「TBS」のクリエイティブ力とコンテンツ制作力の知見やノウハウ、「やる気スイッチグループホールディングス」の知育・教育業界のマーケティング知見を活かし、テレビの枠を超えてより多くの価値提供ができるよう事業拡大を目指しています。

不動産・その他事業

3つの事業のうち一番比率が低いのが不動産・その他事業です。売上高は事業全体の4.6%です。5つの子会社で構成されていて、展開している事業は以下のとおりです。

【事業内容】
・不動産賃貸
・保険代理
・スタジオ管理
・冷暖房管理
・駐車場管理
・機材リースなど

オフィス・店舗・居住用マンションなど、赤坂周辺に複数の物件を保有しており、不動産賃貸業による安定した利益を生み出しています。また、積極的な設備投資を行うなど、赤坂を中心とした都市開発にも力を入れています。

【TBS】ほかの民放キー局との違い

ここからは、民放キー局5社の特徴を3つの観点から比較していきます。比較対象の民放キー局は以下のとおりです。

・フジテレビ
・日本テレビ
・テレビ朝日
・テレビ東京

※民放キー局とは、全国ネットでの放送権利を有するテレビ局のこと

売上高・営業利益

2022年度の民放キー局の売上高と営業利益は以下のとおりです。

【売上高】

順位 企業名 売上高(百万円)
1位 フジテレビ 535,641
2位 日本テレビ 413,979
3位 TBS 368,130
4位 テレビ朝日 304,566
5位 テレビ東京 150,963

【営業利益】

順位 企業名 営業利益(億円)
1位 日本テレビ 46593
2位 フジテレビ 31401
3位 TBS 20782
4位 テレビ朝日 14503
5位 テレビ東京 9229

2022年度の売上高は、フジテレビが首位でした。メディア・コンテンツ事業のほかに、都市開発や観光事業などで売上に貢献しています。

営業利益は、日本テレビが首位に立っています。テレビ離れが取り沙汰されている昨今においても、日本テレビは視聴率が良く、各部門に強みがあるのが特徴です。TBSは売上高、営業利益ともに第3位でした。

出典:「有価証券報告書」(フジテレビ)
出典:「有価証券報告書」(日本テレビ)
出典:「有価証券報告書」(TBS)
出典:「有価証券報告書」(テレビ朝日)
出典:「有価証券報告書」(テレビ東京)

全国ネットワークの活用

全国ネットワークとは、同じテレビ番組を見るために必要な放送局のつながりのことです。全国ネットワークの中心であるキー局と、各地域とネットワークを築くことで、キー局から離れた地域でも同じテレビ番組が放送されます。それぞれの全国ネットワークは以下のとおりです。

・TBS:系列28局からなるJNNネットワーク
・フジ:系列28局からなるFNSネットワーク
・日テレ:系列30局からなるNNN/NNSネットワーク
・テレ朝:系列24局からなるANNネットワーク
・テレ東:系列6局からなるTXNネットワーク

上記のネットワークを活用することで、北海道放送でTBSの番組が放送されたり、福島テレビでフジテレビの番組が放送されたりするのです。ただし、キー局によって全国ネットワークの数が異なるため、放送される番組には地域差がみられます。

ネット配信サービスとの提携状況

インターネットやスマートフォンの普及により「テレビ離れ」が加速する中、ネット配信サービスとの連携がテレビ業界全体の主要課題となっています。テレビ業界のコンテンツをより多くの方に届けるために、各キー局ではさまざまな取り組みを行っています。

・TBS:「U-NEXT」とパートナーシップを締結
・フジテレビ:「Netflix」(2015年に制作合意)
・日本テレビ:「Hulu」の日本事業を買収(2014年)
・テレビ朝日:「AbemaTV」を買収、KDDIと共同で「TELASA」に出資
・テレビ東京:民放公式テレビ配信サービス「TVer」の運営

上記のような取り組みを行い、いつでも視聴できる環境づくりに注力しています。テレビ番組を見逃した方でも一定期間無料で視聴できるVOD(ビデオ・オン・デマンド)や、アーカイブ作品を視聴できる有料VODなどのネット配信を利用すれば気軽に視聴できます。メディアの多様化による柔軟な対応が、テレビ業界全体に求められているといえるでしょう。

まとめ

TBSの強みは、ドラマ制作に定評があることです。数々の人気ドラマを生み出し、さまざまな賞を受賞しています。

近年のインターネットやスマートフォンの普及を受け、視聴者のニーズに応えるために「U-NEXT」と提携し、動画配信事業にも積極的に取り組んでいます。

また、メディア・コンテンツ事業以外にも、ライフスタイル事業や不動産事業など、多方面でも事業展開しています。TBSの強みや特徴を知り、就職活動に活かしましょう。