テレビが好きな方であれば、一度は「裏被り」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
裏被りとは、同じ時間帯に同じ芸能人が出演していることをいいます。
人気芸能人ならよくあるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、
実はこの裏被りは、テレビ業界では“絶対的なタブー”なのです。
なぜ裏被りはNGなのか
ではなぜ裏被りはタブーとされているのか。その理由をひも解いてみましょう。
視聴率の分散
例えば特定の芸能人のファンだったとして、もし同じ時間帯に複数の局の番組に出演している場合、視聴者はどちらをみるべきか混乱してしまいます。
おそらく録画や見逃し配信を利用する人が多くなりますが、その場合にお互いの視聴率が下がってしまうことを避けるため、裏被りはNGとされています。
番組スポンサーに対する“配慮”
テレビは番組スポンサーからの広告料で制作しています。
そのため、前述のような視聴者の分散があるとスポンサーに対しても失礼にあたります。
こうした背景から、裏被りは御法度とされており、出演者に裏被りがないか確認することはとても重要な仕事です。
ただし、裏被りは法律で禁止されているわけではなく、あくまでテレビ業界の暗黙のルールです。

裏被り確認の方法
では、実際の仕事では裏被りをどのように確認しているのでしょうか。
基本的には、裏被りがないかどうかをチェックするのは芸能事務所です。
放送時間が被ってしまう番組が発生した場合は、番組側に放送時間の調整をお願いするなどして対応します。
レギュラー番組の場合は放送時間が決まっているため、その時間を避ければ問題ありません。
一方、スペシャル番組は通常より放送時間が長くなることがあるため、注意が必要です。
また、ドラマの場合は、1クールに複数の作品に出演することもあります。
ただし、同じ時間帯に放送されるケースは多くはないため、問題にならないことほとんどです。
裏被り調整の細かい配慮
例えば、映画の宣伝やドラマの番宣の時期には特に裏被りが発生しやすくなります。
その場合の配慮としては、同じ時間帯の番組でも分単位で出演時間をずらす、一方の番組がCM中にもう一方の番組に出演する、出演していても画面には映さないようにするなどの細かいテクニックがあります。
かなり神経質に思う方もいるかもしれませんが、それほどまでに業界では“裏被りはタブー”という慣習があるのです。
裏被りの例外的なパターン
ここまで、裏被りがNGである理由をご紹介してきました。
しかし近年、例外的に裏被りを許容するパターンが増えています。
バラエティで裏被りが発生した例
お笑いコンビ・霜降り明星の粗品が、2024年に『オールスター感謝祭’24春』(TBS)と『新しいカギ』(フジテレビ)の両方に出演し、裏被りしていました。
しかし、粗品が後日、自身のYouTubeチャンネルで、この現象について説明。
番組スタッフや事務所のミスではなく、双方の局と事務所がOKを出した上での裏被りだったと明かしました。
粗品はこの現象について、「これすごいねん。放送事故みたいな感じでもなくて、ほんまに普通に裏かぶりを事前にしているっていう。いろいろ話し合って。新しいカギも見てほしい、みんなに。ぜひ、TVerで見てください。どっちも出られて、TBSさん、フジテレビさん、ありがとうございました。」と関係者が同意しての裏被りだったことを説明しました。
TVerでの宣伝もしており、どちらの番組も立てている粗品の対応が見受けられます。
YouTube動画はこちら!(1:06:55~裏被りについて言及しています)
ドラマで裏被りが発生した例
バラエティはもちろん、ドラマも裏被りはタブーです。
最終回直前などはスペシャルになることも多いため、裏被りが発生しやすいです。
しかし、こちらも例外的な事例が2022年にありました。
土曜夜10時のドラマ『空白を満たしなさい』(NHK)と、同時間帯の『初恋の悪魔』(日本テレビ)のどちらにも柄本佑が出演しているという事態が起こりました。
かなり異例ですが、事務所が双方の放送局に確認し、了承の上どちらの局からもでてほしいという要望があり、発生した出来事。
それほど、双方に「柄本佑に出演して欲しい」という強い希望があったようです。
このように、双方の同意があれば裏被りが生じることはあります。
もちろん、その際テレビ局はスポンサーにも了承を得ています。

なぜ例外が発生しているのか
理由は様々ありますが、昨今のテレビ離れや視聴スタイルの変化による影響が大きいようです。
例えば、売れっ子の俳優の場合「裏被りをしていてもこの役者さんに出て欲しい」ということもありますし、バラエティ番組では芸人さんにも同じことが言えます。
また、最近ではTVerなど公式の見逃し配信もあるため、必ずしもリアルタイムでテレビを見るとは限りません。
そのため、裏被りをしていても、後からTVerなどの配信サービスで見てもらえるからOKということです。
近年は裏被りも、地上波とBSならOKとしていたり、ラジオとテレビに同時間帯に出演していたりすることも多くあります。
裏被りに関する規制は年々緩和されているといえそうです。
また、テレビ好きであれば裏被りという言葉は知っている人も多く、視聴者でも使用することが多い単語なので、裏被りをした時には、SNSで「裏被り」がトレンド入りするなど、近年のSNSとの相乗効果が偶発的に発生することもあります。
とはいえ、バズるために裏被りをするという動きはありません。
まとめ
さて、裏被りについて近年の動きとともにみてきましたが、いかがだったでしょうか。
まず、「裏被り」という言葉はテレビ好きであれば聞いたことがある言葉であり、ましてや就活生で知らないとなると、「本当は興味ないのかな」と思われてしまいます。
また、近年緩和されている傾向とはいえ、ミスが許される仕事ではありません。
まず前提として、絶対的なタブーであるという認識でいましょう。
