フロアディレクターの仕事内容は?ディレクターとの違いや給料を解説

テレビの収録や生放送に欠かせない職種のひとつにフロアディレクターがあります。テレビ業界で仕事したいと思っている方の中には、フロアディレクターに興味がある方もいるのではないでしょうか。 そんな方のために、今回はフロアディレクターの仕事内容、アシスタントディレクターやディレクターとの違いについて解説します。


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フロアディレクター(FD)とは?

フロアディレクターとは、収録現場で出演者やスタッフに指示を送る現場の司令塔です。

生放送やスタジオ収録では、番組の演出責任者となるディレクターがモニターを見ながらフロアディレクターに指示を送ります。その指示を出演者やスタッフに伝えて、現場を仕切るのがフロアディレクターの主な仕事です。

フロアディレクターとディレクターの違い

フロアディレクターとディレクターは、どちらも「ディレクター」ではあるものの、役割が異なります。

ディレクターは番組制作における現場監督のような立場にあり、演出の決定を踏まえて現場の出演者やスタッフに指示出しを行います。それに対し、スタジオ収録や生放送などの現場の指揮を執るのがフロアディレクターです。

とはいえ、フロアディレクターは常にフロアディレクターとしてのみ働くわけではありません。番組全体を統括するディレクターのポジションとしても働きます。

つまり、ディレクターがスタジオ収録時の役割として、フロアディレクターを担うのです。「自分が担当する企画の収録回ではフロアディレクターを行う」といった番組も多いです。

フロアディレクターとアシスタントディレクターの違い

テレビ番組でよく耳にするのが「AD」という言葉ですが、これはアシスタントディレクターの略です。

アシスタントディレクターにはディレクターの補佐をする役割があり、ディレクターに対し、アシスタントディレクターは1〜3人程度つくことが一般的です。

アシスタントディレクターの仕事は、ディレクターの仕事がスムーズに進行するようにサポートすることです。ロケ地のリサーチや取材・撮影の交渉、撮影機材の準備・片づけなど、撮影に関わることから出演者の弁当を手配するなどといった雑用までこなします。

補佐的な役割であるとはいえ、「優秀なアシスタントディレクターなしでは良い番組は制作できない」といわれるほど番組を作るうえで重要な役割を担います。

番組によっては、歴の長いチーフADクラスのADがフロアディレクターを任されることもあるようです。

フロアディレクターの仕事内容

フロアディレクターを目指す方にとって、知っておきたいのが具体的な仕事内容ではないでしょうか。フロアディレクターの仕事内容を本番前と本番中に分けて解説します。

本番前

本番前は出演者とスタッフが集まって、打ち合わせやリハーサルを行います。この場を仕切るのがフロアディレクターの役割です。

リハーサル前の打ち合わせでは、収録の流れを確認し、番組で使用する小道具やパネル、出し物などについての情報、それらを出すタイミングなどを頭に入れます。

リハーサルでは、出演者のダミーを演じながらカメラの動きをチェックし、どのカメラで撮影するのかを決めます。カメラと出演者はそれぞれに動きが異なるので、フロアディレクターはすべての動線を把握しておくことが大切です。

本番中

本番中は、どのカメラで撮影しているか出演者に知らせたり、生放送の場合はCM入りやCM明けのカウントを出したりします。

台本に書かれている進行部分のカンペは事前に準備し、適宜出しながら番組の進行をサポートします。

また、出演者に対してしゃべってほしいキーワードなどは、その場で書いて指示を出すこともあります。

フロアディレクターの役割

テレビ番組のスタジオ収録、生放送におけるフロアディレクターの役割についてもみていきましょう。

ディレクターをはじめ現場に意図を伝える

フロアディレクターには、自分が考えたネタの意図をわかりやすく伝えることが求められます。どんなに良いアイディアだったとしても、出演者やスタッフにその意図が伝わっていないと、番組制作をスムーズに進められません。

また、本番がスタートしたらカメラマンや出演者、スタッフに指示を出すなどして現場のあらゆる面で周りを気遣いながら指揮を執ることになります。

現場の雰囲気を盛り上げる

より良い番組を制作できるよう、収録や生放送の雰囲気を盛り上げるのもフロアディレクターの役割です。

出演者やスタッフに番組の流れを説明する際は、意識して明るく話したりジョークを挟んだりして、現場全体がリラックスした雰囲気になるようにします。

また、本番中は少しオーバーにリアクションしたりして、出演者のモチベーションを上げることもあります。

フロアディレクターに向いている人の特徴

フロアディレクターに必要不可欠とされるのがコミュニケーション能力です。出演者やスタッフに自分の意思を伝えたり、指示を出したりするだけでなく、相手に誤解なく伝わるように話さなければなりません。

また、現場のムードメーカーとしての役割もあるため、明るい人やハキハキと話せる人が適任です。また、出演者の緊張をほぐしつつ、最高のパフォーマンスを出せる雰囲気を作れる人が良いでしょう。

加えて、現場の指揮を執ることが求められるので、仕切りが上手い人などが向いているといえます。

フロアディレクターになることを考えているなら、まずは自分の性格を分析して向いているかどうか判断してみましょう。

現時点では向いていないと感じるなら、努力すれば変化できそうか、それとも努力で変化するのは難しいかを考慮して、目指すべきかどうか判断してみることをおすすめします。

フロアディレクターの給料事情

テレビディレクターの平均年収は約650万円です。とはいえ、勤務先によって給料は大きく異なります。

テレビディレクターの勤務先は、大きくキー局、地方局、番組制作会社の3つに分けられます。

大手キー局に勤務する場合、30代のディレクターでも年収1,000万円を超えるケースもあります。さらに、年齢を重ねると年収1,500万円以上を目指すことも不可能ではありません。

しかし、同じテレビ局でも地方局の場合はキー局の7割~8割程度の年収に留まることが一般的です。

番組制作会社の場合、勤務する制作会社によるものの、年収は500万円程度であるといわれています。

高年収にこだわるなら大手キー局を狙うのが一番ですが、その分競争率が高いのは否定できません。どうしてもフロアディレクターになりたいなら、地方局や番組制作会社への就職も視野に入れることがおすすめです。

フロアディレクターになるには

フロアディレクターに必須とされる資格はありませんが、まずはテレビ局または番組制作会社に入社する必要があります。とはいえ、入社してすぐにフロアディレクターとして活躍できるわけではありません。

初めはアシスタントディレクターとして番組制作の流れを学びつつ経験を積み、チーフADかディレクターに昇格すると、フロアディレクターを任せられることが一般的です。

まとめ

フロアディレクターの仕事内容とディレクターやアシスタントディレクターとの違いについて紹介しました。人とコミュニケーションを取ることが好きな人、テキパキと周りに指示を出すのが得意な人にとって向いている仕事といえます。

まずはアシスタントディレクターとしての下積みが必要なので、テレビ局や番組制作会社に入社してアシスタントディレクターになることを目指してみてはいかがでしょうか。

アシスタントディレクターの給料事情については、こちらの記事をご覧ください。

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