エンタメクリエイターズ
【バラエティ番組 ディレクター編】
~株式会社共同テレビジョン~

理系出身の総合演出が持つ論理性 × 負けず嫌いなディレクターの情熱 ~リアリティショーで協働した2人が語る制作現場の裏話~ メディアの多様化が進む中、令和のテレビ業界の第一線で活躍する裏方たちを紹介するシリーズ『エンタメ...


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理系出身の総合演出が持つ論理性
×
負けず嫌いなディレクターの情熱

~リアリティショーで協働した2人が語る制作現場の裏話~

メディアの多様化が進む中、令和のテレビ業界の第一線で活躍する裏方たちを紹介するシリーズ『エンタメクリエイターズ』。ディレクター、プロデューサー、放送作家、脚本家など、彼らは昨今の厳しい業界をどう生き抜いているのか。その成功の秘訣やこだわり、熱い思いに迫る。

第2回目は共同テレビで総合演出・ディレクターを務める吉村慶介さんと吉田莉穂さん。共同テレビでバラエティやドラマと幅広いキャリアを積んだ吉村さんと恋愛リアリティショーを中心に担当してきた吉田さん。お2人はNetflixシリーズのリアリティショー『ラブデッドライン』と『ボーイフレンド』で総合演出とディレクターとして仕事をしていたという。今回はお2人に共同テレビで働く魅力や番組制作で心掛けていることを語っていただいた。


(写真左)吉村 慶介(よしむら けいすけ)
株式会社共同テレビジョン ディレクター
1981年生まれ。石川県出身。京都大学理学部、京都大学大学院を卒業後、共同テレビに入社。入社時は第1制作部(ドラマ)に配属され、その後第2制作部(バラエティ)へ異動。趣味は映画鑑賞。3歳の息子さんのパパでもある。

 

(写真右)吉田 莉穂(よしだ りほ)
株式会社共同テレビジョン ディレクター
1995年生まれ。東京都出身。聖心女子大学を卒業後、派遣スタッフとして共同テレビに配属された。現在は共同テレビのクリエーター集団・ベイシスに所属。恋愛リアリティショーを中心にキャリアを積んでいる。

株式会社ベイシスは共同テレビの関連子会社で、ドラマやバラエティの現場で活躍するスタッフを数多く輩出しています。

リアリティショー制作の現場とは?演出と撮影の裏話に迫る

――『ラブデッドライン』に『ボーイフレンド』と、お2人が制作に参加したリアリティショーが大好評ですね。リアリティショーの現場はなかなか想像がつかないので、現場の雰囲気など伺いたいです。
吉田:リアリティショーの撮影の仕方は結構番組ごとに全然違いますよね。

吉村:『ボーイフレンド』でいうと最前線の現場にはディレクターが3人いて、僕は常に現場にいたわけではないんです。演出家としては、現場というよりも現場が始まる前にいろんなことを考えてルールなども決めます。大事なのは、現場でどういう状況があればメンバーの心情が映像的に表現しやすいか?どういう設定があればよりエモーショナルになるか?ということです。
例えばコーヒートラックの相手を決める時に、どう表現するか。僕はみんながいる前で札をめくることで本人たちもドキドキするしワクワクするだろうな、と思いあの方法にしました。部屋に残ったメンバーも札をみて「あの2人が今、行っているんだな」って気持ちになるのもいいなと。正解はないし、演出家が変われば変わるところだと思います。

吉田:私は撮影現場にいたのですが、それぞれメンバーに担当のディレクターがついてました。

――どんなことを意識してメンバーと接してましたか。
吉田:私がまずメンバーに伝えていたのは「恋愛を通して成長していければいいよね」ということ。メンバーが過ごしている様子をずっと見ていて「あのときこういう行動をとったのはなんで?」と聞いてみたり。例えば日常生活で「この人が好きだ」と思っても「どうして好きなんだろう」って言語化しないじゃないですか。でもリアリティショーを通して「自分はこう思うんだ」って言語化ができていく。それが本人たちの成長につながっているのかな、と思っています。

――信頼関係の作り方が難しそうですが、質問したらメンバーは素直に話してくれますか。
吉田:雰囲気は友達と話してるような感じなのかな?

吉村:吉田さんはあえて呼び捨てにしてるイメージとかある!

吉田:そうですね。あとは、彼らのどんな些細な行動も変化も見逃さないように心がけています。気になった行動があれば「どういう思いで、あの行動をとった?」と聞いてみることで、彼らがどんな気持ちなのか知ることもできるし、彼らに「自分のこと見てくれてるんだ」と思ってもらえるかなと思ってます。彼らに全力で向き合っているので、本当に細かいところまで聞くし、そうすることで「実は…」みたいな話があったりもします。そういったことが、信頼関係を構築するのに繋がると思ってます。でもこれはディレクターだからではなくて、友達とか仕事関係でも重要じゃないかな。

『あいのり』での経験が『ラブデッドライン』の着想につながった

――『ラブデッドライン』もかなり話題になりましたが、番組のルールってどういうところから着想を得ているんでしょうか。
吉田:『ラブデッドライン』という番組は、真実の愛を探しにきた男女の番組ですが、ある日突然男性が帰ってしまうというルールがあります。これはADで『あいのり』のロケに行った時の体験がヒントになりました。当時のロケでは、ある女の子に片想いをしていた男の子がいたのですが、その女の子は別の人と結ばれました。片想いをしていた男の子は振られることよりも、自分の気持ちを伝えられずに終わることを悔やんでいて、スタジオのMCの方もそのシーンにグッときていたんです。その姿を見た時に、人が突然いなくなるということは日常でもあり得るし、感情が揺さぶられることなんだと再確認し、そのアイデアを相談したところから始まりました。

「番組作りで大事なのは論理性」理系出身だからこそ見える“感動の作り方”

――お2人が映像業界を志望したのはいつ頃ですか。
吉村:映像をやりたかったのは中学・高校くらいから。大学の時は映像とか放送系のサークルに入っていました。コンテストにCMを作って出したり、「アンラッキーマン」という、ある男に色んな不幸な出来事が起きるコメディ映画を撮っていたりしました。その主演俳優は北海道大学で教授になっています笑。

吉田:私は小学校1年生ぐらいのころから。祖父と大叔父がテレビの仕事をしていたので、幼い頃から面白そうな業界だと思っていました。

――吉村さんは理系出身ですね。理系のディレクターは珍しいですよね。
吉村:数学とか理科が好きでしたし、普通に流れで大学院まで行きました。確かに理系ディレクターは少ないのですが、論理性が大事な仕事なので理系の人が実は向いていると思いますね。笑いの作り方・感動のさせ方って理系的だと思っています。だからこの業界は理系もウェルカムです。

――たくさんの制作会社がある中で共テレを志望した理由を教えてください。
吉田:私は最初共テレには派遣で来ていたので「どうしても共テレ」っていう気持ちは正直ありませんでした。

吉村:僕は元々映画をやりたくて、ドラマが有名な共同テレビに入って、2年間はドラマ部でした。そこからバラエティに異動して18年。でもバラエティの部署にいながらもドラマもやりつつで好き勝手やらせてもらってます(笑)

――吉村さんはドラマでも受賞などされて大活躍ですよね。
吉村:受賞しまくってます(笑)
※『ヨーロッパ企画の26世紀フォックス』(フジテレビ系・2014年)で第31回 ATP賞テレビグランプリ2014 ドラマ部門 奨励賞 受賞
※『スナイパー時村正義の働き方改革』(CBCテレビ・2020年)で2020年日本民間放送連盟賞番組部門 テレビドラマ番組 最優秀賞・令和2年度(第75回)文化庁芸術祭 優秀賞を受賞

「やりたいことで負けたくない」真面目だからこそ悔し涙を流すことも

――お2人は恋愛リアリティショーではじめて同じ現場に入ったとのことですが、お互いの印象はいかがですか。
吉田:吉村さんと同じ現場にはいったのは『ラブデッドライン』からでしたが、吉村さんはなんでも受け入れてくれるので、私は結構好き放題自分の意見を言っちゃってます(笑)
会議ではいろんな意見が出るんですけど、吉村さんはどんな意見でも一回全部受け止めてくれる。だからみんなが意見しやすい雰囲気を総合演出として作っていただけているなと思います。私は負けず嫌いなので、結構突っぱねちゃう傾向にあって…

吉村:そもそもチームの中で僕だけがリアリティショーの経験がなかったので、スタッフの皆さんに尊敬の念がありました。あと、皆さんが番組を良くしたいと思って意見を言っているに決まっているので、そのアイデアの本質を理解したいという気持ちも強いです。
さっき吉田さんは負けず嫌いと言いましたが、真面目なんです。僕、真面目って才能だと思うんですよね。

吉田:先輩ディレクターにも意見を通そうとして「私これやりたいんです!」っていうタイプです。「いや、どうしてもやりたい」と。やりたいことで負けたくないんです。

吉村:(吉田さんが)一人で泣いてる時もあったよね。

吉田:他のディレクターとぶつかって悔しくて泣いてました…

――率直に意見が言えて職場の雰囲気も良さそうに感じます。共テレならではの居心地の良さは感じますか。
吉村:いい人が多いですね。あんまりカーって怒る人はいなくて穏やかで。

吉田:共テレは技術さんとか編集さんが社内にいるんです。だから自分が1年目の時に一緒に仕事をしていた人と、今も一緒に仕事をしていたり。だから相談はしやすいですね。

吉村:採用についていえば、僕の頃とは違って現在は専門職採用なので、入社が決まればやりたいジャンルに配属されることは約束されています。
キャリアを考えて、希望して異動することもありますし、僕はバラエティやりながらドラマもやったりしています。

「人が一番成長できるのは、新しい人と出会ったとき」

――吉村さんがバラエティもドラマもやっているとのことで、共テレは部署間の垣根が少ないように感じます。働いていてもそう感じることはありますか。
吉村:垣根がどんどんなくなっています。僕はドラマに関しては、別の部署や1人で外部の会社に行ったりして勝手にやっていますが、社長にも「どんどんやりなさい」と言われます。他の会社では中々ないかもしれないですね。
そもそもバラエティの中にもクイズっぽいものがあったりドラマっぽいことがあったり、ドラマでもコメディがあったりサスペンスがあったりする中で、ドラマとかバラエティとかのジャンルで分けることが正解なのだろうか、とは個人的には思っています。手法は違えど演出家として大事なものは変わらない気もします。部署間の交流は大事だと思います。

吉田:例えば、普段はドラマを撮る方やバラエティの番組を担当している方が、恋愛リアリティ番組の制作に入ってくださるとまた違う視点の意見が出てくるし、違うジャンルの方とも交流もできる。それが次の仕事につながったりもします。

吉村:人が成長する瞬間って、新しい人と出会った時だと思うんです。例えば自分のできないことをできる人と出会った時。いろんな部署と交流する中で、いつも一緒に仕事をしている人だけじゃなくて、違う人とも仕事することはとても大事だと思っています。僕も吉田さんと知り合って成長できたし。そういう意味では共同テレビは比較的大きな会社で人も多いのでおすすめです笑。

――お2人とも部署間の交流にすごく前向きですね。
吉村:同じチームでずっとやっているとどっかで弱くなってくるというか。井の中の蛙状態になるし、あと、やっぱり楽なんですよ。だからこそ僕はあまり社内の人とばかりとは付き合わないようにしています。
優先順位としては、新しい人とか社外の人。例えば、飲み会が2つ重なったとしたら知らない人との飲み会を優先してます(笑)。近しい人とばかり話していると小さい話になるなと。違う業界の人は中々接点がないですが、別の会社の人や脚本家の人、役者さん芸人さんとか。とは言っても吉田さんとも結構飲みに行ってますが(笑)

吉田:私も自分の視野を広げる行動は意識しています。人の意見を聞いた時「どうしてこの人はそう考えるんだろう」と自分の中で考えてみたり。視野を広く持った方が仕事も広がるし交友関係も広がりますね

「一緒に働きたいのは“すべての行動に理由づけができる人”」

――ずばり、入社して欲しい、一緒に働きたいというのはどんな人ですか。
吉村:僕は賢い人です(笑)。

吉田:なんとなく仕事をするんじゃなくて、問題意識を持てる人。「自分はこう思ったからこう動いたんだ」とか、行動に理由づけができる人っていうのは大切だと思います。「なんでこうやったの?」って聞いた時に「こう思ったから」と返ってこないと、一緒に働く上で大変かなと。今一緒に働いているADの子はみんなそれができるのでありがたいです。

吉村:ディレクターとか演出家ってそれがないと決められないんです。物事を決定していかなきゃいけないけど迷ってしまう。だからこそ理由が欲しくなっちゃう。

吉田:私も編集してる時そうですね。こういう意図でこのカットにしようとか考えています。でも直しがあったりすると「こういう方法もあるのか」と発見もあるので、意見が通らないこともあるけど、意識を持っていた方が仕事は楽しいと思います。

吉村:あとは知りたいって気持ちがある人ですね。僕の息子は3歳なんですけど、何でもかんでも「なんでこうなの?」っていうんです。そういううちの息子みたいなマインドを持っている人(笑)。ぼーっと生きてる人よりも「これはなんでこうなっているんだろう」と思う人。疑問を持つってことは興味があるってことだと思うんです。対象物に対して興味がないと中々難しい仕事なので。

 

 

 

『ラブデッドライン』(2024)
結婚を逃してきた女性たちへ贈る婚活リアリティショー。プロポーズできるのは女性のみ、しかし男性には旅の期限があり、いいと思った彼は、明日もういないかも。
プロポーズのチャンスは一度だけ。必要なのは勇気?作戦?果たして本当の愛を自ら掴むことはできるのか。結婚に向けた旅が始まる!
公式ホームページはこちらから

 

 

 

『ボーイフレンド』(2024)
男性が恋愛対象の9名のBoysがそれぞれに思いを秘めて参加。日本初となる男性同士の恋愛リアリティショーがついに誕生!これまで異性間だけで語られてきた日本の恋愛リアリティショーの歴史に、新たな1ページが刻まれる。
恋愛リアリティショーでありつつも、恋愛成就のみならず、一生モノの友情、宝物のような一ヶ月が待っている!
公式ホームページはこちらから

 

 

 

社名 株式会社共同テレビジョン
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【Netflix】
「ボーイフレンド」
「ラブデッドライン」
【Amazon Prime Video】
「ドキュメンタル」
【バラエティ】
NHK「チコちゃんに叱られる!」
TBS「人生最高レストラン」
【ドラマ】
CX「ギークス/GEEKS」
TBS「笑うマトリョーシカ」

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