実際に働き始めるまでは何気なくただ楽しんで観ていたテレビですが、1年間のADの経験を経て、テレビの観方が変わりました。今回は、ADになった私の変化についてお話していきたいと思います。
テレビの観方
それまでは目にも留めていなかったことが、今は無意識に観てしまったり、気になってしまうことが多々あります。そこで、実際にADとして働いてきたことで変わった、テレビの観方についてお話します。
クレジット表記
クレジット表記とは、各コンテンツの著作者、提供者を示すものです。各コンテンツの作った著作者、提供者を記入することで、転載や無断コピーなどを防止し、著作権侵害につながる行為を防ぐことができます。
テレビを観ていると、画像や映像が表示されたときに画面の端に「提供:@@」などの表記があるかと思います。そのクレジット表記を、ADになるまでは全く気にしたことがなかったのですが、働き始めてからはチェックするようになりました。この素材は@@のサイトから使用できる、@@(会社や協会)に問い合わせたら使用できるなどをチェックしています。
エンドロール
エンドロールとは、映像作品において最後に流れるクレジットのことです。映像制作に参加したスタッフや出演者、制作会社などの情報が表示されます。
ADとして働く前は、出演者の部分やロケ地くらいしかみていなかったエンドロールですが、今ではほぼ一通りみてしまいます。
エンドロールの楽しみの一つが、撮影の裏側やスタッフ情報がわかることです。エンドロールには、監督や出演者だけでなく、照明や美術など、映画製作に関わったすべてのスタッフの名前や会社名が記載されています。
知っている人の名前があったら嬉しくなりますし、この番組は@@(制作会社)が作っているんだな、など色々な発見があります。
テロップ
テレビ画面上に表示される地震や警報などの緊急情報、選挙結果やニュースなどの速報、番組出演者のコメント、状況説明、インタビューの会話、音楽番組で流れる歌詞などがテロップに当たります。テレビを見ていれば、みなさんも日常的に目にしているでしょう。
バラエティ番組などでよく用いられるのが、カラフルな色とポップなフォントのテロップです。このようにテロップの文字の色やデザインを明るいものに指定することで、映像の雰囲気を明るく華やかに見せることができるという効果もあります。
例えば、芸人さんのするどいツッコミや、面白い発言などを大きな文字のテロップでポンポンとテンポ良く表示したり、コーナータイトルをポップなテロップで表示したりすることで、番組の雰囲気がより華やかで面白く感じられます。
そんなテロップですが、原稿をADが書く場合もあります。そのため、どのような発言をテロップで出しているのか、どのように言い換えて出しているのかなどを見て参考にしています。
また、テロップの色やフォント、表現方法による見やすさやわかりやすさなども勉強するようになりました。
ロケの内容やスタジオセット等
普段何気なく観ていたテレビですが、ADとして働き始めるようになってからは、「このロケ楽しそうだな~」「このご飯ロケハンとかで食べたのかな~羨ましいな」「これはめっちゃ大変なんだろうな~」などと感じながら観るようになりました。
ロケ地の仕込みはADの仕事ですので、ロケ番組を観ていると、「この場所の仕込みはどうやってやったんだろう」と考えることもあります。
また、スタジオ収録の番組を観ているときには、「このスタジオセット豪華だな」「お金かかってそうだな」と思ったりもします。
普段自分が働いているテレビ局の中で撮影していることもたくさんあるため、これは局のリハ室だ!これはアトリウムだ!などと、観たことのある風景をテレビで観ると不思議な感覚にもなります。
休日の過ごし方
ADと言えば、休みがないというイメージを抱いている人は多いのではないでしょうか。
番組にもよりますが、基本的に休みはありますし、プライベートも充実している人が多いイメージです。
その中で、働き出す前と後では休日の過ごし方が変わった面がいくつかあります。
睡眠をとる
働きだす前までは、休日に寝て時間が過ぎるのはもったいないと思っていたため、予定を入れて遊んだり、何もない日でも1日1回は外に出たりするようにしていました。しかし働きだしてからは、とにかく睡眠をとっていました。もちろん遊びたい欲もあるので予定は入れるのですが、土日があればどちらかは睡眠に費やすこともありました。睡眠をとることで心身の疲れをリセットしていると思い込んで寝ています。
制作スタッフと遊ぶ
もちろん、学生時代の友人と遊ぶこともありますが、制作スタッフと遊ぶことがかなり増えました。
大きな理由としては、予定が合わせやすいことです。急遽休めることになったり、逆に休みだったのに仕事が入ったりすることもあるため、制作スタッフと予定を合わせるのが一番楽だというのがあります。
休日にリフレッシュとしてみんなでドライブしたり、海に行ったり、ライブに行ったりして楽しんでいます。
実際にロケで行った場所で、「ここまた来たい!」と思ったところにプライベートで一緒に行くなんてこともありました。そして次の日が休みの日には、仕事終わりにみんなで飲みに行って仕事のことを忘れて思いっきり楽しんでいます。
普段仕事では苦手だなと思っていたディレクターも、このような場でたくさん関わることで好きになったということもあります。仕事中にはなかなかできない話をしたりして仲を深めるのも大切ですね。
整体に行く
AD業務の中には、パソコン作業だったり、重い荷物を持ったりと身体に負担のかかることが多いです。
そのため、休日に整体に行って身体をほぐしてリフレッシュする人をよく耳にします。
働きだす前から、ADは重い荷物を持ったりするなど、体力が必要だというイメージはありましたが、思っていた以上にパソコン作業が多いです。それが原因で肩が凝ったり、腰が痛くなったりするので、整体に行くことで痛みを和らげ、疲労回復するために利用しています。他にも、整体で骨格の歪みを整えることで、自律神経のバランスが改善され、ストレスの軽減や睡眠の質向上が期待できます。
このように、身体を癒す方法として整体に行ってみるのも良いかと思います。
美容院やネイルに行く
休みの日に美容院とネイルをはしごして行くことが多いです。ある程度仕事が落ち着いている期間であれば、前もって予約をして行くのですが、そろそろ美容院もネイルも行きたいけど来週の仕事の予定がわからないな…という時には、前日や当日に予約して行くこともあります。
番組にもよりますが、基本的には髪型もネイルも自由なので自分の気分を上げるために、定期的に行くようにしています。
番組ならではの知識がついた
番組の中には、グルメ・ロケ・雑学・教養・ドッキリ・クイズ・歌などなど様々なジャンルがあります。
この仕事をしていると、番組のたくさんあるジャンルの中で、自分が担当した番組ならではの知識や技術を身につけることができると感じます。
色んなお店を知ることができる
これは主に、ロケがメインのグルメ番組で得ることができると思います。
色んな地域の色んな食べ物を食べることができたり、有名な食べ物を知ることができたり、美味しいお店を知ることができたりと、食べ物好きにはたまらないと思います。
食べ物だけでなく、普段は入れないようなところに入ることができたり、自分の知らなかった場所に行くことで新たな発見があったり、この仕事だからこそ得られる貴重な経験がたくさんあります。
教養や一般常識を勉強できる
これは主に、雑学や教養、クイズ番組で得ることができると思います。
このようなジャンルの番組では、ネタをADが考えることもあるので、たくさん本を読んだりネットで調べたりして様々な知識を蓄えることができます。
クイズ番組では、ADもクイズ案を出すこともあるため、たくさん頭を使います。
このようなネタ案のために、常に世の中のことにアンテナを張る癖がついたりもします。
番組を作りながら知らなかったことを知ることができたり、知識を付けるためにニュースをよく見るようになったりと、まさかこんなに勉強をする機会があるとは思っていませんでした。
【番外編】学生の頃は経験できなかったようなことを経験する
学生から社会人になると、毎日の生活習慣やルーティーンなど、周囲のあらゆる物事が沢山変化していきます。
その中でも、テレビ業界で働いているからこそ経験できることをいくつかお話します。
タクシーをよく使うようになった
この業界では、タクシーを使う場面が予想以上に多くあります。
学生の時まではタクシーを使うことはなかなかありませんでしたが、この業界に入ってからは頻繁に使用するようになりました。
主に使用する場面としては、急いで移動しなければならない時、カメラや撮影で使用する道具などの重い荷物を運搬する時、作業が長引き終電を逃した時などです。
ADはタクシーを呼ぶことが多いため、タクシーアプリは必ず入れています。
ディレクターやプロデューサーにご飯に連れていってもらえる
みんなでご飯に行くとなった時には、ディレクターやプロデューサーが高そうなご飯屋さんに連れて行ってくれます。学生ではなかなか行けないような所に行って美味しいご飯を食べることができるので、仕事も頑張ろうと思えますね!
時には、会員制のバーに連れて行ってもらえたりもします。そのようなところでは芸能人がいたりすることもあり、貴重な経験になります。
ゲストなどで来たアーティストのライブやイベントに関係者として行ける
番組のレギュラー出演者や、ゲストで来たタレント、アーティストのライブやイベントに関係者として行くことができるチャンスがあります。ADが関係者として入ることができるなんて思ってもいなかったので驚きました。他にも、映画のチケットをもらえたり、ライブのグッズやCDをもらえたりすることもあります。これはテレビ業界で働いているからこそ経験できることだなと思います。チケットなどは、タレントさんや事務所とやり取りをしているプロデューサー経由でもらえることがほとんどなので、推しがいる人は、その推しと仲の良いプロデューサーと仲良くなっておくと、色々と得をすることがあるかもしれません。
まとめ
今回は、実際に1年間ADを経験してみて変わったことをいくつか紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?作り手側になったことによるテレビの観方や、休日の過ごし方が変わったり、番組ならではの得られること、他にもテレビ業界で働いているからこそ経験できることなど、働き始めてから得られることがたくさんあります。
テレビ業界を目指す皆さんも、作り手側の目線を意識してテレビを観てみると、新たな発見があったり、働いてから役立つこともあるかと思いますので、是非試してみて下さい。そしてテレビ業界で働くことは大変なこともたくさんありますが、得られるものは大きいのでそんなに怖がらず、挑戦してみてほしいなと思います。