CM制作の絵コンテとは?役割・メリット・チェックポイントなど元PM目線で解説!

CM制作の現場に欠かせない「絵コンテ」の役割と重要性を元PM(プロダクションマネージャー)目線で徹底解説!制作全体の流れから、絵コンテに含まれる要素、ロケハンやロケーションコーディネーターとの連携、変更指示が入った際のPMの迅速な立ち回りまで、映像制作の「設計図」を現場で具現化するためのポイントをお届けします。


この記事は約10分で読み終わります。

CM制作の現場で欠かせない資料のひとつが「絵コンテ」です。
絵が上手い・下手というよりも、絵コンテは“完成イメージを揃え、現場のズレを減らすための設計図”として機能します。
特にPM(プロダクションマネージャー)は、絵コンテを起点にロケハンや準備物、当日の段取りを具体化していくため、「どこを見るか」がとても重要です。

この記事では、CM制作における絵コンテの基本から、役割・メリット、そして新人が最初に押さえるべきチェックポイントまでを、元PMの視点で整理して解説します。

CM制作全体フロー

まず、絵コンテがどの段階で必要なのか。
テレビCMを制作する際の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. ブリーフィング(オリエンテーション): 広告主との打ち合わせで、目的・ターゲット・コンセプトを共有。
  2. 企画・構成: ヒアリング内容を元に、CMの骨子となる企画・構成案を監督が作成。
  3. 絵コンテ制作: 企画・構成案に基づき、映像の設計図となる絵コンテを作成(後述)。
  4. キャスティング: タレントや出演者の選定。
  5. 撮影準備・撮影: ロケハン、スタジオ手配、撮影実施。
  6. 編集(MA作業含む): 映像のカット割り、テロップ、BGM・効果音・ナレーションの調整(MA: Multi Audio)。
  7. 考査・放送枠決定: 放送局の審査、放送時間の確保。
  8. 納品・放送: 制作素材を納品し、CMを放映。

CM制作にかかる期間は、内容によりますが一般的に2〜3ヶ月程度、最短でも1ヶ月半ほどで、企画・構成に1ヶ月、撮影〜編集・納品に1ヶ月半〜2ヶ月がおおよその目安です。
WebCMはテレビCMより短く1〜2ヶ月、小規模なら2〜3週間で済む場合もありますが、アニメーションや複雑な演出、有名タレントの起用、撮影場所の許可取りなどがあるとさらに制作期間が長くなります。

CM制作の絵コンテとは?

基本的に絵コンテは監督が作るものですが、CMを制作する際にどのようにチェックするものか、ポイントを押さえておきたいと思います。また、絵コンテの意味や見方を知っておくと、打ち合わせもスムーズです。

そもそも『コンテ』自体が、動画や映画、テレビドラマなど映像コンテンツの設計図や指示書のことを指しており、『絵コンテ』とは文字通り、絵のついた設計図、指示書のことを言います。
動画のカット割やカメラワーク、セリフやナレーション、効果音などが細かく記されていることから、構成台本などと呼ばれることもあります。

絵コンテの主な役割

・イメージの共有: 演出家やスタッフ、クライアント間で、CMの具体的な映像イメージを統一します。
・制作の効率化: 撮影前に具体的な指示を明確にし、撮影現場での無駄な作業や手戻りを減らします。
・構成の可視化: 脚本だけでは伝わりにくい映像の流れやカメラワークを視覚的に示します。

絵コンテに含まれる要素

絵コンテに使われる用紙は制作会社によって細かい部分が異なるものの、たいてい以下の内容が記載されています。

・映像要素(ビジュアル)

      • コマ割り・絵: シーンごとのイラスト(キャラクターの配置・動き、背景、商品の見せ方)。
      • カメラワーク: アングル(画角)、パン、ズームなど。
      • 演出: スローモーション、テロップ、光の方向(照明)など、インパクトを与える表現。
      • ト書き(ト書き): 映像の詳細な説明(役者の動き、背景の状況など)。

・音声要素(オーディオ)

      • セリフ・ナレーション: 登場人物の言葉や語り、伝えたいメッセージ。
      • BGM: 音楽の種類(アップテンポ、明るい曲など)とタイミング。
      • 効果音 (SE): 状況を補強する音(例:商品を使う音)。

・時間(尺)要素

      • 秒数(タイムライン): 1カットあたりの秒数(例:0〜5秒)を厳密に設定し、全体尺(15秒、30秒など)に収める。

・テキスト・情報要素

  • キャッチコピー: 視聴者に残る短いフレーズ。
  • 法的表記・注釈: 必要な文言や情報。 

コンテとは「continuity(連続)」の略で、イラストを四コママンガの要領で制作し、CMなどの映像の流れを表現するものです。
海外では、Storyboard(ストーリーボード)が絵コンテに近いものとして存在しています。
映像を使用したコンテは、VTR用コンテ通称Vコンと呼ばれます。

構成は基本15秒CMであれば8コマが想定されますが、30秒・60秒用など映像の尺や内容に応じてカット数も変動します。
絵コンテのタッチは、まるで写真のようなリアルタッチやアメコミタッチ、モノクロのシンプルなタッチなど表現したい世界観に合わせて様々です。

動画の骨格にあたる部分なので、打ち合わせを重ねてブラッシュアップしていきます。
できれば絵コンテは、複数案提出してもらうといいでしょう。

絵コンテからロケハンまでの段取り

CM制作において、絵コンテとロケハン(ロケーションハンティング)は、撮影の成功を左右する極めて重要な準備工程です。

絵コンテを参考にしながら、撮影が技術的・法的に可能で、かつ絵コンテの世界観に合った場所を提案します。 勿論、絵コンテから「どのような雰囲気の場所が必要か」「どのような撮影条件が求められるか」を読み取るのも大切ですが、 絵コンテに描かれているような場所が現実にあるか、撮影が可能かの判断も重要です。

例えば、「見晴らしの良い丘」という描写があれば、それに合う複数の候補地を探します。
候補地が見つかれば、監督やカメラマンらと共に現地確認(ロケハン)を行い、絵コンテ通りの撮影ができるか、光の当たり具合や周囲の状況などを詳細にチェックします。

 

1. 各工程の役割

・絵コンテ(映像の設計図): 企画内容をイラストで可視化したものです。各カットのキャラクターの動き、カメラ角度、セリフ、秒数などを詳細に記載し、全スタッフで完成イメージを共有します。

・ロケハン(現場の下見): 絵コンテのイメージに合う撮影場所を探し、下見する作業です。単なる場所選びだけでなく、照明の入り方、機材の搬入経路、電源の確保、撮影許可の確認など、実務的な検証も含みます。 

・ロケーションコーディネーター: 撮影に最適な場所を見つけ、手配まで行う専門職です。制作チームだけでロケ地を探すこともありますが、ロケーションコーディネーターと連携することで、作品の世界観を現実の場所として具体化します。通称「ロケコー」と呼ばれ、撮影許可の取得や当日の立ち会いなども担当します。

 

2. 制作の流れと関係性

一般的に絵コンテの作成が先に行われ、その後にロケハンが実施されます。 

    1. 絵コンテ作成: 企画に基づき「どのような映像を撮るか」を確定させます。
    2. ロケ地探し: 監督の抽象的なイメージや絵コンテの具体的な描写に基づき、条件に合う場所をリサーチします。
    3. 交渉と許可申請: 撮影場所のオーナーや管理者と交渉し、撮影許可を取得します。(ロケーションコーディネーターがついている場合、こちらの交渉はやっていただけます。)
    4. ロケハン: 確定した絵コンテの内容を実現できる場所を実際に見て探します。
    5. 内容の調整: 実際のロケ地の状況に合わせて、絵コンテのカメラアングルや演出を微調整します。 

 

3. トレンドと留意点

・制作準備の重要性: ロケ地選定の段階で、単なる見た目だけでなく、近年、機材の適応性やコンプライアンス(撮影許可など)がより厳格にチェックされる傾向にあります。

・技術的な検証: 高度な撮影技術(ドローンや特殊照明など)を使用する場合、ロケハン時に技術スタッフ(照明技師やカメラマン)が詳細なチェックリストに基づき、現場の技術的なポテンシャルを評価します。

このように、絵コンテは、CMの企画意図を忠実に、かつ現実的に映像として実現するために不可欠な関係にあります。

変更が入った時のPMの動き

CM制作において絵コンテに変更が入った場合、PM(プロダクションマネージャー)は迅速な情報共有と影響範囲の特定が最も重要です。変更の規模やタイミングに応じて、以下の手順で対応します。

1. 変更内容の正確な把握と記録

・変更点の明確化: 誰からどのような変更依頼があったのか(例:クライアント、広告会社)、変更箇所(例:セリフ、カット割り、背景)と理由を正確に把握します。
・書面での確認: 口頭での依頼は避け、必ずメールや変更指示書など、書面で変更内容の承認を得て記録に残します。 

2. 関係者への迅速な情報共有

・社内スタッフ: 監督(ディレクター)、カメラマン、美術、編集担当など、制作に関わる全員に直ちに変更を共有します。変更による各工程への影響を伝えます。
・外部関係者: 段階が進んでいる場合は、キャスティング会社、スタイリスト、ヘアメイク、ロケ地管理者など、外部パートナーにも速やかに連絡します。

3. 影響範囲とスケジュールの再調整

・工程への影響評価: 変更が撮影スケジュール、編集期間、MA(マルチオーディオ)など、後続の工程にどのような影響を与えるかを評価します。
・スケジュールの再設定: 変更に伴う作業時間の増加を考慮し、現実的なスケジュールを再提案します。特に納期(納品)への影響は最優先で確認します。
・コストへの影響評価: 変更によって追加費用が発生する場合(例:再撮影、追加のイラスト作成、スタジオ延長)は、その費用を見積もり、クライアントや広告会社と調整します。

4. クライアント・広告会社とのコミュニケーション

・変更の承認: 影響範囲(スケジュール遅延、追加費用)を明確に伝え、正式な承認を得ます。
・考査への影響確認: 変更内容によっては、CM考査(テレビ局による内容審査)に影響が出る可能性があります。必要に応じて、考査担当者にも相談します。 

5. 新しい絵コンテの作成と共有

・絵コンテの修正: 変更を反映した新しい絵コンテ(または修正版)を作成します。
・最新版の共有: 関係者全員が最新の絵コンテで作業できるように、確実に配布・共有し、旧版との混同を防ぎます。

ポイント

・記録の徹底: 変更経緯や承認の記録は、後のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。
・柔軟な対応: 映像制作において変更はつきものであるため、柔軟かつ冷静に対応できる体制づくりが求められます。

 

CM制作においてPMが絵コンテの変更に対応する場合、「予算・スケジュール・クオリティ」の再調整が主な業務となります。
PMはプロデューサーが立てた戦略を現場で形にする役割であるため、変更時には
「何がいつまでに必要なのか」を整理し、現場の混乱を最小限に抑えることが求められます。

まとめ

PM(プロダクションマネージャー)は「制作進行」とも呼ばれ、CM制作の全工程をマネジメントする役割を担います。
簡単に言えば絵コンテは、CMの内容を絵で説明したもので、いわば「絵のついた台本」です。
PMは作成された絵コンテを基準に、具体的な制作スケジュールを組み、必要なスタッフや機材の手配、撮影場所の調整などを行います。
絵コンテはPMにとっての「指示書」や「設計図」として機能し、PMはそれを現場で実現するための進行管理を担う中心的な役割を担当します。
絵コンテはPMが内容を深く理解し、制作に関わる全員が同じ方向を向いて作業できるよう調整する、まさに制作の要となる存在です。
将来PMから監督を目指す人にとって、間近で絵コンテが成長していく姿が見れる経験は、PMとしての大きな財産になります。