企画力と聞くと、「センスがある人だけが持っている才能」のように感じるかもしれません。僕自身も最初はそう思っていました。
面白い企画を出せる人は、最初から発想力が違うのだと。
でも、作家として企画を考える場に関わる中で感じたのは、企画力はかなり後天的に鍛えられるということです。
もちろん向き不向きはありますが、日常の見方を変えたり、考えたことを言葉にする練習を続けたりすることで、アイデアの出し方は少しずつ変わっていきます。
この記事では、若手作家として僕が実際にやってきた企画力トレーニングを、学生でも今日からできる形で紹介します。
そもそも企画力とは何か?
企画力というと、「面白いアイデアを思いつく力」と考えられがちです。
もちろんアイデア力は大切ですが、それだけでは企画にはなりません。
テレビ番組やYouTube、広告、イベントなどの企画では、「誰に向けたものか」「何が面白いのか」「どう展開すれば伝わるのか」まで考える必要があります。
つまり企画力とは、思いつきを人に伝わる形に組み立てる力でもあります。
僕が作家仕事で意識しているのは、「面白そう」で止めずに、「なぜ面白いのか」「誰が見るのか」「どんな画になるのか」まで考えることです。ここまで考えると、ただのアイデアが企画書に近づいていきます。
なぜ企画力は鍛えられるのか?

企画力は、特別な才能だけで決まるものではありません。
毎日のインプットとアウトプットの積み重ねで、少しずつ鍛えられます。
たとえば、同じニュースを見ても、ただ情報として受け取る人と「これを番組にしたらどうなるか」と考える人では、見えているものが変わります。
大事なのは、普段から考えるクセをつけることです。
面白い番組を見たときに「面白かった」で終わらせず、「なぜ面白いと感じたのか」を分解する。
街で変な看板を見つけたら、「これを企画にするなら?」と考える。
こうした小さな積み重ねが、企画力の土台になります。
学生でもできる企画力トレーニング方法
ここからは、実際に僕がやっていた企画力トレーニングを紹介します。
どれも特別な道具はいりません。スマホのメモアプリだけでも十分できます。
1. 番組の企画を自分なりに考える
まずおすすめなのが、既存の番組を見たあとに「自分ならどんな企画を出すか」を考える練習です。
たとえば、好きなバラエティ番組を1本見たあと、その番組でできそうな新企画を3本考えてみます。やり方は簡単です。
「出演者」「場所」「ルール」「見どころ」をセットでメモします。
たとえば、街ブラ番組なら「この芸人が学生街を歩いたら?」「飲食店ではなく部活動に入ったら?」というように、既存の型を少しずらして考えます。
この練習で身につくのは、番組のトーンを読む力と、企画を形にする力です。
放送作家の企画は、完全なゼロから生まれるだけではなく、既存の構造を理解してアレンジすることも多いです。
2. 日常の出来事を企画に変換する
次に、日常で起きたことを企画に変換する練習です。
友達との会話、アルバイト先での出来事、電車で見かけた光景など、少し引っかかったことをメモします。
そして「これを番組にするとしたら?」と考えます。
たとえば、「コンビニで新商品を毎回買う友達がいる」という出来事があれば、「新商品を一番早く見つける人選手権」や「コンビニ新商品だけで1週間生活」などに変換できます。
大事なのは、日常の違和感や小さな面白さを見逃さないことです。
この練習を続けると、企画の種を拾う力がつきます。企画力の鍛え方として、日常を素材化するクセはかなり効果的です。
3. ニュースから企画を考える
ニュースを企画に変換する練習も役立ちます。
社会的な話題や流行には、多くの人が関心を持つ理由があります。その理由を考えることで、企画の切り口が見つかります。
やり方は、気になったニュースを1つ選び、「誰が困っているのか」「何が新しいのか」「バラエティや情報番組にするならどう見せるか」をメモします。
たとえば、物価高のニュースなら、「節約の達人に1週間密着」「同じ1000円でどこまで満足できるか」といった企画にできます。
この練習で身につくのは、時代感をつかむ力です。テレビ業界や広告の企画では、世の中の空気を読むことが重要になります。
4. 「なぜ面白いか」を分解する
面白い番組、YouTube、CM、SNS投稿を見たときに、「なぜ面白いのか」を分解する練習です。これは周りの作家さんもよくやっている印象があります。
面白いものを見て終わりにせず、構造を言語化します。
たとえば、「ツッコミが強いから面白い」のではなく、「普通なら流す違和感を、出演者が大げさに拾っているから面白い」と具体的に考えます。
「誰が」「何に」「どう反応しているから面白いのか」まで分解すると、自分の企画にも応用しやすくなります。
このトレーニングで身につくのは、分析力です。アイデアの出し方に困ったときも、過去に分解した型が引き出しになります。
5. タイトルだけを大量に考える
企画書を書く前に、タイトルだけを大量に考える練習もおすすめです。
タイトルは企画の入口なので、タイトルが立つと中身も考えやすくなります。
やり方は、1つのテーマに対してタイトルを10個出すだけです。
たとえば「学生生活」をテーマに、「帰宅部だけの甲子園」「遅刻理由プレゼン大会」「友達の友達だけで相関図を作る」など、多少くだらなくても構いません。
最初から完成度を求めず、量を出すことが大切です。
この練習で鍛えられるのは、切り口を変える力です。同じテーマでも、言い方や角度を変えるだけで企画の印象は大きく変わります。
6. 企画を1枚メモにまとめる
最後は、思いついた企画を1枚メモにまとめる練習です。
企画は頭の中にあるだけでは弱く、人に説明できる形にして初めて使えるものになります。
メモに書く項目は、「タイトル」「企画意図」「内容」「見どころ」「出演者イメージ」の5つで十分です。最初は粗くて構いません。
むしろ、完璧な企画書を作ろうとするより、短くまとめる練習を何度もした方が力になります。
この練習で身につくのは、企画を伝える力です。作家の仕事では、面白いことを思いつくだけでなく、相手に伝わる形で出すことが求められます。
実際に変化を感じた瞬間

僕が変化を感じたのは、企画を考えるスピードが少しずつ上がってきたときです。
最初は1本出すのにかなり時間がかかっていましたが、日常のメモやタイトル出しを続けていると、「このテーマならこの切り口がありそう」と考えやすくなりました。
もう一つ大きかったのは、番組を見る視点が変わったことです。
ただ笑うだけでなく、「この企画はルールが分かりやすい」「この出演者の関係性が効いている」と見られるようになりました。
そうなると、インプットの質も上がります。アウトプットを前提に見ることで、普段のテレビやSNSも企画力トレーニングになります。
続けるコツ
企画力を鍛えるうえで大事なのは、完璧を求めすぎないことです。最初からすごい企画を出そうとすると、手が止まります。
まずはくだらない案でもいいので、数を出すことを優先した方が続きます。
おすすめは、1日1個だけ企画メモを残すことです。
番組企画でも、広告の案でも、YouTubeの企画でも構いません。
短くてもいいので毎日考えると、少しずつ企画脳が育っていきます。
企画力トレーニングは筋トレに近く、急に伸びるというより、続けた分だけ考えるクセがついていくものです。

まとめ
企画力は、生まれつきのセンスだけで決まるものではありません。
日常の出来事を企画に変換したり、ニュースから切り口を考えたり、面白いものを分解したりすることで、少しずつ鍛えることができます。
放送作家・企画の仕事でも大切なのは、天才的なひらめきより、考え続ける習慣です。
企画力・鍛え方に悩んでいる人は、まず今日見た番組の新企画を1本考えるところから始めてみてください。
小さなメモの積み重ねが、いつか自分だけの企画の引き出しになります。
