ADから転職するならどこが良い?強みを活かしたおすすめの業種を解説

テレビ制作現場で縁の下の力持ちとして活躍するADは、多岐にわたる業務の性質上、きついと感じる場面も多い仕事です。肉体的にも精神的にもきついADを続ける中で、転職を考え始める人も少なくありません。しかし、ADから転職するならどんな職業がよいのか、ADの経験や強みを活かせる業種はあるのか分からない方も多いのではないでしょうか。 今回はADが転職を考える理由からおすすめの業種まで、ADの転職について解説します。


この記事は約7分で読み終わります。

ADが転職したいと考える理由

ADが転職したいと考える理由は人それぞれです。ここではADが転職を考える代表的な理由を見ていきましょう。

休みが不規則なことがある

ADが転職したいと考える理由として多いのが「休みが不規則なことがある」ということです。

ADは制作現場には欠かせない存在です。そのため、休日が不規則な番組もあります。例えば、ある番組制作では、毎週日曜日を休みとしていたとしても、取材先などに日曜日に取材や打ち合わせに来てほしいと言われると、日曜日は休日ではなくなります。

また、バラエティ番組の場合、長尺のスペシャル放送が確定したら繁忙期になります。その場合、10~20連勤ということも少なくありません。もちろん、連勤の後にはしっかりと代休を取得します。しかし、勤務中は大変です。

一方、バラエティ番組の放送がスポーツ中継などで中止になると、放送予定だった日の1~2か月前は閑散期となることもあります。

また、年末年始は基本休みとなりますが、年末年始にOAを控える番組を担当しているADであれば、放送前は休みがとれません。そのため、番組の放送後に遅れて年末年始の休日をとることになります。

このように、番組によってADの休みは不規則になります。その割に映像の演出技術の無いAD の給料は低いため、辞めたいと思うことも必然といえるでしょう。

精神的な負担が大きい

「精神的な負担が大きい」ことも、ADが転職したいと考える理由のひとつです。

ADは取材交渉やロケ先のリサーチ、資料の作成など、多くの雑務を一手に担います。そのため、取材交渉を成功させなければと焦ったり、取材先などにOAにのせる資料を借りる際に「OAに間に合うように許諾をもらわなきゃ」と追い詰められたりする場面が多くあります。このように責任の重い業務をAD1年目から行わなければなりません。

立場も低く、精神的にもプレッシャーがかかるため、心身に負荷がかかる仕事といえます。

キャリアプランが見えない

ADがまず掲げる目標がディレクターへ昇進することです。しかし、いつまでもディレクターへ昇進できず、キャリアプランが見えなくなることも転職理由に挙げられます。

ADからディレクターへの昇進は一握りの人のみです。ディレクターのポジションが空かない、相性が悪いといった理由で昇格できないこともあります。しかし、ディレクターになりたいと思い行動していれば、いつかは昇進できます。

ただし、中には効率的に努力していなかったり、技術不足であったりして昇進するのが遅れるADもいます。そこで、ディレクターになるのをあきらめ、いつまでこの仕事を続けないといけないのかと悩み、転職を考えるようになるのです。

ADを辞めるかどうかを決断するときの基準

上述したように、ADが転職を考える理由は様々です。しかし、転職を考えているとはいえ、実際に仕事を辞めて、新しい仕事でやっていけるのか不安な人も多いでしょう。

ADを辞めるかどうかを決断する際には、明確な基準をもっておくと良いです。

ADを続ける覚悟があるかどうか

退職には不安もつきまといますが、仕事を続けるも辞めるも覚悟が必要です。

ADのうちは、「映像制作がしたい」という覚悟が必要です。ADの給料は、技術を身に付けていない分ほぼ低額で、これは年数にかかわりません。チーフADなど、肩書をもらいはじめると昇給もあります。

例えば、パティシエの場合、見習いの人が作った不完全なお菓子は、商品として店頭には出せません。まずは基礎から身に付け、ちゃんとした商品が作れるようになって初めてパティシエとして相応な給料をもらえます。

これと同じように、ADも基礎を身に付け、ディレクターとなって番組が作れるようになって初めて相応な給料をもらえます。そのため、ADのうちは「自分は映像制作がしたい」という覚悟がないと続けるのが厳しくなります。

現在、映像制作の幅は多分野に広がっています。テレビ業界を一生の仕事場にするというよりも「映像制作を一生の仕事にする」ということを考えるべきでしょう。転職するかどうか迷っている場合は、今一度、映像制作を一生の仕事にするべきかどうかを考えてみましょう。

ADからキャリアアップが見えるかどうか

「キャリアアップできるかどうか」もADを辞めるかを決断するときの基準のひとつです。

ADからディレクターへ昇格するまでには、バラエティ番組の場合5年近くかかるとされています。5年以上ADとして働いてもキャリアアップできないのであれば、見切りをつけることも選択肢のひとつです。

ADから転職するならおすすめの業種

ADが転職する場合、ADとしてこれまで培ってきた経験や強みが活かせる職業にすれば、転職後も活躍できます。

ここではADから転職する際のおすすめの業種をご紹介します。

テレビ局のADに転職

人間関係や職場環境などが原因で転職を考える場合は、職場を変えてみるのも方法のひとつです。例えば、番組制作会社のADとして働いている場合は、テレビ局のADに転職します。職場が変われば上司や方針も変わるので、よりよい環境で仕事できる可能性があります。

ただし、テレビ局への転職の場合、即戦力になる経験をもっていても中途で入社することは困難です。キー局の子会社である大手制作会社であれば転職できる可能性があります。

また、制作会社へ転職する場合、ライバル会社への転職は慎重に考えましょう。制作会社Aから制作会社Bへ転職した場合、BがAの社員を引き抜いたと思われてしまうケースもあります。引き抜きは業界的にご法度であるため、慎重に行う必要があります。

ただし、派遣会社と制作会社が話し合って「派遣元のAさんをこのままうちの社員にしたい」とオフィシャルに契約を交わすのは問題ありません。

映像制作会社や一般企業に転職

ADの経験が活かせる転職先としておすすめなのが、CMの映像制作会社です。テレビ番組のADとして培った経験は、CM映像制作会社でも活かせます。

テレビ業界はCM枠という時間を売って収益を上げるため、一見するとADと広告代理店にも接点があるように思えます。しかし、実際は広告代理店とAD間に接点はほとんどありません。

また、番組の広報を行う部署はテレビ局内にあるため、ADとして関わっている番組の制作局に広報として転職することはできません。

番組制作会社の総合職

番組制作のデスクといった、番組制作会社の総合職に転職するのもキャリアチェンジのひとつです。番組制作のデスクはほぼ内勤なので、ADよりも肉体的な消耗は少なくなります。

また、AD時代の取材交渉で培った電話応対スキルなど、経験を活かせる場面が多いことも魅力です。ADを2~3年程度経験していれば、セカンドキャリアの候補に加えられます。給料面でもADよりも高待遇です。より安定した仕事を目指すなら、番組制作会社の総合職への転職も検討しましょう。

営業職

営業職もADが転職するのにおすすめの業種のひとつです。営業職は顧客のことを優先で考え、顧客の利益を最大限に生み出すために動くので、ADには適した職業といえます。

また、ADから芸能事務所のマネージャー職へ転職した人もいます。マネージャーは演者の営業もしており、各テレビ局のスタッフルームへ演者同行で挨拶回りをしたり、パンフレットを配ったりしています。このようにADと営業職には近いものがあります。

営業職は結果を出せれば、莫大なインセンティブ報酬を手にすることもでき、収入アップも期待できます。

まとめ

ADは厳しい仕事である一方、待遇面も決して良いとはいえないため、転職を考える人もいます。しかし、漠然とした理由で転職するのではなく、本当にADを辞めていいのか、転職するならどの職業が自分に適しているのかをしっかりと検討する必要があります。

今回の記事で解説した、ADを辞めるかどうかを決断するときの基準や、おすすめの業種を考え、自分に合った仕事を見つけましょう。