【具体例あり】現役テレビマンが最初につまづいた業界用語を徹底解説!

『デジ?』『ドラテ?』『オフライン?』これって何のこと? 新人ADさんが最初に困ること・・・ それは、先輩・上司に指示された言葉の意味が分からない! ということではないでしょうか。 どの業界でもその業界内でのみ使われる独...


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『デジ?』『ドラテ?』『オフライン?』これって何のこと?

新人ADさんが最初に困ること・・・
それは、先輩・上司に指示された言葉の意味が分からない!
ということではないでしょうか。

どの業界でもその業界内でのみ使われる独特の言葉がありますが、
テレビ業界でも普段は耳なじみのない用語が沢山飛び交っています。

今回は、シーン別によく使う業界用語や普段よく使う物の呼び方など、
テレビ業界内での『あるある』用語を具体例と共に紹介します!

ロケ・収録の際によく使う用語


筆者もAD経験者なのですが、初めてロケに同行した日、
先輩ADがディレクターに「同期とって!」と言われて、
その先輩ADがカメラの前で、両手をパチンッ!としていて
何をしているんだろう?と不思議に思ったのを今でも覚えています。

現場でよく見る、この『同期をとる』という作業。
何なのかというと・・・
撮影の際、映像と音声は別々に収録することが多く、
カメラもいくつかのアングルが必要になる為、複数台使用することが多いです。
その際に、いくつかの画と音がそれぞれズレないように、
時間軸を合わせる作業のことなのです。

のちに編集をする際に、この「パチンッ!」にあわせて複数台のカメラの映像、
音声データを並べると、全ての画音がキレイに揃うという仕組みになっています。

このような専門的な用語の数々に初めのうちはよく戸惑いました。
ここからはロケや収録の現場での『あるある』用語を紹介していきます!

ロケ・収録の際によく使う物

まずは、ロケ・収録時によく使う物から紹介します!

【デジ】
撮影で使用するカメラのこと。
種類問わず、カメラ全般のことをさします。

【カンペ】
出演者への指示やセリフなどが書かれたスケッチブックや模造紙のこと。
用紙の種類や大きさは、撮影の規模にあわせて使い分けます。
主に、ディレクターがカメラに写らない位置に掲示して、出演者に伝えます。

【手カンペ】
MCや進行役のアナウンサーが手に持つ、進行用のカンペフリップのこと。
台本の中で進行に必要な部分を抜き出してまとめてあったり、
クイズなどを出す場合にはお題が書いてあったりします。

【プロッキー】
カンペに文字を書いたりするマジックのこと。
黒・赤・青の3色は必須です。

【ガムテ】
ガムテープ ※粘着力の強いタイプ

【養生】
養生テープ ※粘着力の弱いタイプ

【りゃんめん(両面)】
両面テープ

【ビニテ】
ビニールテープ
黒を使うことが多いです。

【ドラテ】
ドラフティングテープ
粘着力が弱くて、貼ったりはがしたりしやすい、肌色のテープのこと。

テープの類は、物を固定したり、印をつけたり、何かを隠すために布を貼ったり、
何かをまとめたりするときに使います。
ロケ先が店舗や一般のお宅などの際には、貼った後が残らないように、
粘着力の弱い養生テープを使用するなど用途にあわせて使い分けています。

ロケ・収録の際によく使う業界用語

次に、ロケや収録の際、よく使う業界用語を具体例とともに紹介します!

【カメリハ】
カメラリハーサルの略。
本番前に行われる、本番に近い形で出演者の動きや、物の出し入れ、
カメラワークなどを確認する作業のこと。

例文:(収録前に)「〇時からカメリハやります!」

【バミる】
出演者の立ち位置、セットの場所などを、床にビニールテープや
養生テープなどで小さく印をつけておくこと。

例文:(カメリハ中に)「モニターはその位置でバミっといて!」

【板付き】
最初から決まった位置に人がいる状態のこと。

例文:「MCは板付きスタートね!」

【上手・下手】
映像(カメラ)を通して見た時に、右側が上手、左側が下手。
舞台などをよく見る方は知っている言葉かもしれませんが、
テレビの収録現場の場合は、映像(カメラ)を通して見た時が基準になります。

例文:「MCは下手からゲストは上手から登場です!」

【八百屋にする】
スタジオに食べ物や物を入れ込む時、見やすいように、
出し物の下に何か物を置いて斜めに見せるやり方。

八百屋さんで、野菜が見やすいように、
斜めに角度をつけて陳列されていることがあると思います。
そのイメージです。

例文:「トーク中に入れ込むノート、ページ開いて八百屋にして出して!」

【ターハイ】
許容量オーバー、いっぱいいっぱいの状態のこと。 ※麻雀用語がもと

例文:「(先輩ADから)〇〇くん、ターハイ気味だから手伝ってあげて!」

【押し巻き】
「押し」は予定時間をオーバーしていること。「巻き」はその逆。

例文:「ロケの押し巻きは随時共有してください!」

【ケツ】
決められた終わりの時間(があること)。

例文:「○○さん(出演者)ケツがあるから、今日のロケは押せないよ!」

※出演者が現場に来る時間のことは【入り】といいます。
例文:「○○さん(出演者)の入り30分早まりました!」

【てっぺん】
深夜0時のこと。

例文:「収録押してて、てっぺん回りそうです…」

【Q出し】
合図を出すこと。

例文:「ディレクターがQ出ししたら、出演者に小道具渡してね!」

【白をとる】
ロケで、ホワイトバランスを調整する為に、カメラの前に真っ白な紙などを映して
光の色合いを補正する作業のこと。

※ホワイトバランス・・・光には色がついていて、電球や蛍光灯、太陽光など
光源の種類によって赤っぽかったり、黄色っぽかったり、青っぽかったりします。
そのため、カメラには、白いものを白く写すための色補正機能がついています。

例文:(ロケ前に)「デジの白とっといて!」

【物撮り】
商品や料理など、人間ではない物を撮影すること。

例文:「ロケ終わったら、物撮りお願いします!」

【箸あげ】
料理の物撮りで、美味しそうに見せるために、食べ物を箸などで持ち上げること。

例文:「次、箸あげ撮るから準備しといて!」

編集の際によく使う用語

ロケや収録が終わると、今度は編集作業が待っています。
編集にまつわる用語も専門的な言葉が多く、慣れるまでは大変です。
ここからは、編集の現場でよく使う業界用語を具体例とともに紹介します!

【デジタイズ】
ロケや収録で撮影した収録メディアを、
編集する為にPCに取り込みデータ変換すること。

例文:「さっき撮ってきたこの素材、デジタイズしておいて!」

【尺】
VTRの時間の長さのこと。

例文:「現状のオフライン、尺3分オーバーしてます。」

【オフライン】
ディレクターがPCで編集する作業のこと。

例文:「今オフライン中で、来週からハコに入ります。」

ロケや収録で撮影する映像素材は、放送されている時間よりも長く、
多いもので10倍くらいあったりします。
その中で、面白いシーンや企画のテーマに合った内容部分を抜き出し
放送時間の尺の中に収めなければいけません。
ディレクターの仕事の中でもセンスと腕が試される作業になります!

【プレビュー・オフチェック・試写】
プロデューサーや構成作家などと一緒にオフライン映像をチェックすること。

例文:「プレビューまでにこの素材埋めておいて!」

ディレクターがオフラインを進め、尺にしていく中で、
ある程度構成が固まり、大枠がみえてきた段階でこの『プレビュー』をします。
企画に合った内容になっているか、面白いか、視聴者はついていけるのか、
使いどころはこれでいいのかなど意見を出し合いながら映像をチェックします。

このプレビューを重ね、構成を直したり、シーンやカットを入れ替えたり、
使いどころを修正したりなどを繰り返し、より良い内容に仕上げていくのです!

【ハコ(箱)】
編集所のこと。

例文:「今日のハコは○○(場所)で、○時からです!」

ちなみに、編集所で頼むご飯のことを『箱めし』といいます。
これを頼むのは主に新人ADさんのお仕事だったりします。

【MA】
編集された映像に、効果音や音楽、ナレーションなどを付け加え、
整音作業をすること。

例文:「ここのカット変えたから、MAし直してもらって!」

ちなみに、MAをする人を『ミキサー』さんと呼びます。

また、この効果音を選んだり、音楽(BGM)をつけたり、
音の加工・編集をしたりするのは『音効』さんになります。

ミキサーさんは、音効さんが選んだ音楽や効果音を映像に合わせて、
音量を上げたり絞ったり、効果音をずらしたり、ナレーションをつけたり、
出演者同士の会話のボリューム調整などの整音作業をしたりしています。

【白完】
テロップが入る前の尺になった映像素材のこと。

例文:「今白完まで終わったので、これからテロップ入れていきます!」

【画完】
テロップ入れも終わり、MA前の放送できる状態の映像素材のこと。

例文:「画完までいったので、音効さん用に一旦コピー回します!」

【完パケ】
完全パッケージの略。
テロップ入れもMA作業も終わり、
放送できる状態に仕上がった映像のこと。

例文:「やっと完パケました!あとは納品するだけです!」
※完パケまで終わったことを『完パケる』と言ったりします。

【アバン】
番組の冒頭やタイトルの前に入れる映像。
本編に入る前に、内容をダイジェスト的に見せて、視聴意欲を掻き立てるもの。

例文:「アバンでこのシーン入れたら視聴率あがりそう!」

【ワイプ】
VTR中に、スタジオにいる出演者(のリアクション)を
画面の四隅などに小窓で入れること。

例文:「○○さん(出演者)、VTR中良いリアクションしてたからワイプで使おう!」

【サイド】
番組の右上や左上などに常に入っているテロップのこと。

例文:(先輩ADから)「○○さん(ディレクター)にサイド原稿もらってきて!」

まとめ

今回は、テレビ業界内での『あるある』用語を色々と紹介しましたが
いかがでしたでしょうか。

どの言葉も良く飛び交っているので、
予め知っておくと役に立つときがくるかもしれません。

これから現場で働くことを目指している皆さんは是非参考にしてみて下さい!