テレビ番組の“顔”セット作りについて解説!

バラエティやドラマなどを見ていると、必ず目に入るのがテレビ番組のセット。番組のビジュアル、いわば「顔」です。テレビに映るほぼすべてのものがそうであると言えますし、視聴者に与える番組のイメージを決めてしまうくらい重要な要素...


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バラエティやドラマなどを見ていると、必ず目に入るのがテレビ番組のセット。番組のビジュアル、いわば「顔」です。テレビに映るほぼすべてのものがそうであると言えますし、視聴者に与える番組のイメージを決めてしまうくらい重要な要素です。でも、誰があのセットを作っているのか、どうように作られていくのか気になりますよね。今回はテレビ番組のセット作りについてご紹介します。

テレビセットを作るのはテレビセットデザイナー

そもそも、テレビ番組のセット作りをするのは誰なのでしょうか。バラエティやドラマ、ニュースなどのテレビ番組のセットをつくり出す役割を担うのはテレビセットデザイナーです。まずはテレビセットデザイナーについてご説明します。

テレビセットデザイナーの仕事

テレビセットデザイナーは、番組のデザインコンセプトを立ち上げ、それを具現化することが仕事です。基本的には企画初期段階で、ディレクターが作りたいと思っているもの、まだコンセプトが曖昧で決まりきっていないものを、現実に落とし込んで固めていく最初の場です。シャープな映像にしたいのか、ポップなものにしたいのか、泥くさく笑いを取っていきたいのか、一緒に番組の世界観を作り上げる役割をしています。

テレビセットデザイナーの仕事の魅力

セットデザイナーは体力勝負ですし瞬発的な判断が求められる大変な面もありますが、クリエイティブの力で視聴者の“楽しい”気持ちを生み出せることがこの仕事のやりがいです。また、自分が作ったものを多くの人に見てもらえるので、喜びも大きいでしょう。

テレビセットデザイナーに向いている人、必要なスキル

セットデザインは番組の演出にも関わってくる部分であり、演出サイドの意向を汲み取って実現するクライアントワークでもあります。それはイベントやドラマにおけるセットデザインでも変わりません。ですが、そのなかで自分なりのオリジナリティを出すことが重要で、そのオリジナリティを他の人に認めさせるための説得力も必要です。そのためにも、デザイナーは常に自分の意見を持って仕事に関わらなくてはいけません。その方法が絵や図面を描くことでもいいし、言葉で説明することでもいい。とにかく自分の意見を伝える力を鍛えることが求められます。

テレビ番組のセットの作り方

テレビ番組のセットはどのように作られるのでしょうか。ここではテレビ番組のセットが完成するまでの流れをご説明します。

【番組プロデューサーやディレクターと打ち合わせ】
まず、番組プロデューサーやディレクターと打ち合わせをおこない、どのような演出をしたいのか、番組の世界観のイメージなどを確認します。たとえば、初期の段階では「朝の情報番組・メインMC・ゲスト・モニターを使って展開する」くらいが決まっていて、そこから、出演者の立ち位置や座り位置、役割や動き方、全体の構成を聞き出し、必要なセットの規模を把握します。
加えて、出演者をどういう空間に居させたいかを話します。情報番組だから、新聞社のようなイメージだとか、わいわい話す感じも出したいから、サロンみたいな雰囲気も加えて欲しいといったことや、朝の爽やかな印象を与えたいので黄色やブルーをメインカラーにする?だとか。時には脱線して雑談をすることもあります。雑談の中で、担当のプロデューサーやディレクターの好みなどを引き出し、希望のイメージに近づける工夫をするのも大切です。

【イメージスケッチをおこない、デザインの方向性を決める】
打ち合わせで上がったキーワードをもとに、資料を集めながらイメージスケッチをおこない、デザインの方向性を決めます。さらに図面を引き、模型を作りイメージの確認や、おかしいところはないか、セットとして成立しているかなどの確認をします。

【美術打ち合わせの準備をする】
こうして出来上がった平面図・イメージスケッチ・模型をもとに担当のディレクターにプレゼンし、番組側で確認してもらいます。OKであればセットの制作発注用に図面を引きなおしたり、資料をまとめたりして美術打ち合わせの準備にとりかかります。

【セットの発注をする】
実際にセットをカタチにするのは大道具・小道具・造園・電飾などの協力会社さんです。美術打ち合わせでは、番組の概要を説明してから、セットの発注をしていきます。自分の目指すセットにより近づけるために、色味や質感、仕上げのイメージは細かく伝えることを大切にしています。
打ち合わせの中で「この展開があるのであれば、ここの作りはこうしておいたほうがいいのでは?」など、協力会社さんのほうからアイデアをいただいたりすることもあります。
また、セットの建て込み・番組収録・セットのバラシまでのスケジュール管理もデザイナーの仕事で、協力会社さんの作業調整や連絡も行います。

【ディレクターと照明、カメラなど技術スタッフと打ち合わせ】
次に、番組収録に向けてディレクターと照明さん、カメラさんなどの技術の方々を交えて打ち合わせをします。平面図・イメージスケッチ・模型をもとにデザインコンセプトを伝え、照明プランやカメラのアングルなどを決めていきます。

【収録の前日にセットの建て込み】
そしてついに収録の前日。セットの建て込みでは、図面をもとに協力会社さんが作業をしている中、自分がデザインしたイメージ通りになるように細かな指示を出します。気になるところは収録のギリギリまで調整して、一番良いと思うカタチにもっていきます。番組収録からセットのバラシまで立会い、セットのビジュアル管理と現場の安全管理をします。

テレビ番組のほか、配信番組のセット作りもある!

NetflixやPrime Videoといった動画配信サービスの登場に加えて、タレントや芸能人がYoutubeチャンネルを開設するのが当たり前になるなど、大きな変化のなかにある動画メディア業界。地上波の番組のみならず、動画配信サービス番組やイベントのセットデザインを手掛けることもあります。配信番組は地上波と違って誰でも見られる番組ではないため、企画に対する規制も緩やか。そのため、バブル期のテレビ番組のような大掛かりなセットを使ったバラエティ番組やゲーム番組のニーズが高まりつつあるようです。

まとめ

今回はテレビ番組のセット作りについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。番組のセットを作るセットデザイナーやセット作りの流れを知ると、より一層テレビを見るのが楽しくなります!今後テレビを見るときは、ぜび番組のセットにも注目してみてください。