プロデューサーとディレクターの違いを徹底解説【仕事内容・役割・年収比較】

テレビ業界を目指す方なら一度は耳にしたことがある「プロデューサー」と「ディレクター」という肩書き。両者はよく混同されがちですが、実は仕事内容や役割には大きな違いがあります。本記事では、テレビ業界におけるプロデューサーとディレクターの違いを軸に解説しつつ、広告業界・IT業界・ゲーム業界など、他業界における役割の違いにも触れていきます。これから業界研究をする学生の方や、転職を検討している方は是非参考にしてみて下さい!


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テレビ業界を目指す方なら一度は耳にしたことがある「プロデューサー」「ディレクター」という肩書き。両者はよく混同されがちですが、実は仕事内容や役割には大きな違いがあります。本記事では、テレビ業界におけるプロデューサーとディレクターの違いを軸に解説しつつ、広告業界・IT業界・ゲーム業界など、他業界における役割の違いにも触れていきます。これから業界研究をする学生の方や、転職を検討している方は是非参考にしてみて下さい!

ディレクターとプロデューサーの違いとは?

仕事内容・役割の違い

プロデューサーとはマネジメントを担う職種です。制作を統括する立場で、責任者のポジションとなります。制作スケジュールや予算の管理、スタッフのチーム編成、各企業とのやり取り(キャスティング)などを行います。
また、ディレクターを任命することもできます。ディレクターの任命のほかにアシスタントプロデューサーやアシスタントディレクターの人数調整などスタッフの管理も行います。

一方、ディレクターとは制作現場において現場監督のような役割にあたる職種です。出演者や番組スタッフへ具体的な指示を出したり、ロケの進行、編集作業などの業務を番組の先頭に立って行います。

責任範囲・意思決定の違い

プロデューサーの方が、ディレクターよりも責任範囲が広くなります。
プロデューサーは、ディレクターの上司にあたる存在であり、プロジェクト全体の責任を負うポジションといえます。

ディレクターはプロジェクトを形にしていく現場の総監督であるため、現場の責任者となります。

つまり、ディレクターを含めたスタッフ全員の責任を負うのがプロデューサーであり、プロジェクトに問題があった場合は、プロデューサーが責任を取る場合がほとんどです。

一方、プロデューサーよりもディレクターの方が、より専門知識を持っていることから、制作の意思決定はディレクターの方が強い場合があります。

年収・待遇の違い

プロデューサーとディレクターの年収は、業界や会社によってばらつきがあります。

テレビ番組の制作会社では、プロデューサーが500万円程度、ディレクターで400万円前後といわれています。もちろん、これまでの実績によっては、高収入を得られることもあるでしょう。

テレビプロデューサーは、企画立案、予算管理、キャスティング、最終責任を負う一方で、テレビディレクターは制作の現場監督であり、企画から収録、編集まで全体の制作工程に関わるため、担当する番組や制作の進行状況によっては、仕事が早朝・深夜になるなど、不規則になる可能性もあることからプロデューサーの方が待遇が良いといえます。

業界別での役割

IT業界

IT業界では、自社ではなく顧客のWebサイトの製作など、Web関連のプロジェクトを担当します。

プロデューサーは、顧客から製作するWebサイトの大まかなイメージを聞き、事業計画を立案し、市場調査や予算計画、技術者の選定や外部クライアントとの折衝を行います。

ディレクターは、プロデューサーの指示を受け、エンジニアの作業スケジュールを調整し、現場を動かす役割を担うことが多いです。

ただし、IT業界では役職の区別が曖昧で、どちらの役割も担っている現場も多いという特徴があります。仕事内容を兼任するため、求められるスキルは高くなります。

広告業界

広告業界では、ディレクターは広告のプラットフォームによって分野ごとに配置されます。そのため、プロデューサーが制作現場の統括も兼ねているといえます。

プロデューサーはクライアントとの折衝、企画提案、チーム編成、予算と時間管理などを行います。

ディレクターは編成されたチームでの総指揮を行います。ライター、カメラマン、エディターなど、さまざまな分野のクリエイターがかかわるため、部門の責任者であるディレクターや全体を統括するディレクターは、現場スタッフとのコミュニケーションが重要になるでしょう。

エンタメ業界(映像・ゲームなど)

テレビプロデューサー(映像プロデューサー)は、番組の企画の考案、番組の枠組み決定、予算管理、キャスティング等、映像制作に関する責任を一手に引き受けます。

テレビディレクター(映像ディレクター)は、企画を映像として表現するため、収録や編集を担当します。また制作会議での演出・台本などのアイデア出しや、カメラマン・音声・照明などへの指示出しも担います。

ゲームプロデューサーは、市場調査や分析、企画、予算の確保や工程の決定、プロジェクトメンバーの選出、スケジュール管理や品質管理を行います。業務範囲が広いのがゲームプロデューサーの特徴です。

ゲームディレクターの役割は、企画、予算、スケジュールを踏まえて、工程管理やクオリティ管理を行いつつ、現場スタッフに指示やアドバイスを行います。さらに工程管理と並行して、動きや演出などの最終判断を行うのもゲームディレクターの仕事です。

両者の役割がしっかりと分かれていることが多く、お互いに調整・サポートをしながらプロジェクトを進行します。

プロデューサーとは?仕事内容・スキル・キャリアパス【テレビ業界】

プロデューサーの仕事内容

企画が承認されたら番組の規模・構成に合わせたお金の配分を計画する予算管理を行います。支出が必要かどうか判断して認否を下します。

総合演出からアシスタントディレクターまで、制作スタッフの人選を行い、編成しチーム全体の統制を行います。

キャスティング案をもとに芸能事務所に出演交渉をします。タレントさんが出演してくれるか否かはプロデューサーの腕が試される部分なので、人脈作りも重要です。

ロケや収録の際、放送までの映像チェックの際には、何か法律に触れるようなことはしていないか、放送禁止用語等の発言・使用はないかなど、危機管理(コンプライアンス)チェックも行います。

求められるスキル

さまざまな要素を踏まえたうえで最終決定を下す立場であるため、自ら覚悟を決めて物事を判断する決断力は必要不可欠な力といえます。

プロデューサーは企画の方向性の決定や現場の状況を見ての指示出し、外部と交渉など自らが先頭に立って物事を決めなければならない場面が多くあります。

プロデューサーは新しい企画を実行させるために、社内の上層部や顧客に適切に提案することがもとめられます。提案力は世の中に新たなものを届けるために必要な力であるといえます。

また、自分と周囲の関係性や状況を正しく理解し把握する状況把握力は、プロデューサーがさまざまな場面で決断を下すときに欠かせない力の1つです。その時々にあわせて状況を正しく理解して、適切な判断をすることが重要になるのです。

キャリアパスと将来性

入社後、まずはアシスタントディレクターとして経験を積み、ディレクターとなり制作に関することをよく理解してからプロデューサーになる必要があります。

もしくは、アシスタントディレクターからアシスタントプロデューサーになり経験を積んで、プロデューサーになるパターンのどちらかです。

番組全体の責任者になるわけですから、スタッフそれぞれの役割や仕事内容全てを把握し理解する必要もありますし、同時にタレント事務所との向き合いや人脈作りなども必要になるため、プロデューサーになるまでにはそれなりの時間を要するのが一般的です。

テレビの場合はYouTubeなどの動画投稿サイトの普及によって視聴率が低下するなど、現状は厳しいといえます。一方で、視聴率の低下の原因となっているYouTubeなどを上手く取り込むような番組を制作するなど可能性は無限大とも言えます。

自らの手で人気番組を立ち上げるなど将来性を切り開いていくことができれば、将来性は十分にあると言えるでしょう。

※テレビプロデューサーについてもう少し詳しく知りたい方はこちら!
★check!!➡テレビ局のプロデューサーになる方法とは。向いている人の特徴を紹介

ディレクターとは?仕事内容・スキル・キャリアパス【テレビ業界】

ディレクターの仕事内容

先述したとおり、ディレクターとは制作現場において現場監督のような役割を果たします。
企画として動き出したプロジェクトを実現するために細分化し、担当や細かなスケジュール管理、そして現場が円滑に動くようにコミュニケーションをとる役割です。テレビ番組の制作には、AD以外にも、放送作家、技術スタッフ(カメラマン、照明、音声)、編集マン(エディターやミキサーなど)、美術スタッフなど大勢のスタッフが関わります。テレビディレクターは、これらのスタッフとコミュニケーションを取り、細かな指示や指導を行わなければなりません。

求められるスキル

政治・経済はもちろんのこと、スポーツやエンタメなど幅広いジャンルに対して興味を持ち、知識を持ち合わせておく必要があります。疎い分野があると、仕事をする上で不利なため、世の中のことに幅広く目を向けるようにしましょう。新しいことや、これまで自分が知らなかったことに触れられるのを楽しめるような知識欲のある人に向いています。

テレビディレクターはさまざまな人と打ち合わせをする機会があります。信頼関係がうまく構築できていないと、番組制作もスムーズにいかないでしょう。そのため、どんな人とでも信頼関係を築けるコミュニケーション能力を持ち合わせている必要があります。

キャリアパスと将来性

制作会社やテレビ局へ就職した後、アシスタントディレクターからスタートして、番組制作の基礎を下積みで学ばなければなりません。たとえば、バラエティ番組の場合、5、6年程度 アシスタントディレクターとして働いた後に、現場のディレクターやプロデューサーに実力を認められて昇格するのが一般的なルートです。

将来的に、テレビディレクターの仕事の幅は確実に広がっていくのではないかといわれています。
最近ではパソコン一台で簡単に編集できる環境が整ってきたことから、予算が少ない番組の場合はディレクター自ら本編編集を行うことも珍しくないようです。

こうした事情を踏まえると、テレビディレクターの仕事は今まで以上に幅が広がっていくと考えてよいでしょう。

番組制作に関する業務は何でもやれる、というような人が、テレビディレクターとしてますます活躍していけるのではないでしょうか。

※テレビディレクターについてもう少し詳しく知りたい方はこちら!

★check!!➡テレビディレクターになるには?求められるスキルを紹介

プロデューサーとディレクターの年収比較

テレビ・映像業界

テレビプロデューサーとテレビディレクターの年収は、キー局や地方局、番組制作会社によってばらつきがあります。

もちろん、これまでの実績によっては、高収入を得られることもあるでしょう。
しかし、テレビディレクターとテレビプロデューサーの年収については、勤務先によって格差があるのは事実です。就職先を決める際は、年収事情についても考慮したうえで選択するようおすすめします。

番組制作会社 キー局
プロデューサー 500万円程度 30代で1,000万円越え

40代以上で1,500万円〜

ディレクター 400万円前後 1,000万円

Web・ゲーム業界

Web業界は、企業や役職によって年収相場が大きく異なる一方、ゲーム業界は役職による年収相場の差はありません。年収の幅もゲームプロデューサーが326~878万円、ゲームディレクターが319~877万円と目立った違いはありません。

Webプロデューサーは、制作実績を積み、プロジェクトのマネジメント能力、問題解決能力、折衝能力、財務系知識を深めることが年収を上げる秘訣となります。

WebディレクターはWeb業界でも売り手市場で即戦力が求められ、年収アップのチャンスが大きいといえます。

Web業界 ゲーム業界
プロデューサー 約700万〜800万円 468万円
ディレクター 約500万〜800万円 468万円

キャリアによる年収の変化【テレビ業界】

テレビプロデューサーは、キャリアアップしながらプロデューサーを目指します。ADとして経験を積んだ後は、アシスタントプロデューサー(AP)としてテレビプロデューサーのサポートを通して、実績を積んでいきます。APとしての働きが現場のプロデューサーやディレクターに認められて昇進すると、晴れてプロデューサーになれます。チーフレベルのプロデューサーともなると、年収2,000万円台も夢ではありません。

AD AP P チーフP
250万円程度 250万〜450万円 500万円 2,000万円台

プロデューサーとディレクターのどちらを目指すべきか?【テレビ業界】

プロデューサーに向いている人の特徴

テレビプロデューサーは市場の動向やトレンドを踏まえ、予算などを考慮に入れた企画を立案することもあります 。そのため、俯瞰的な視点を持った人がテレビプロデューサーに向いているといえるでしょう。

加えて、プロデューサーには芸能事務所への出演交渉やプロジェクトメンバーへの指示出しなどの仕事もあり、コミュニケーション能力も求められます。円滑なコミュニケーションによって「この人に任せておけばうまくいく」といった信頼を得ることが必要です。

ディレクターに向いている人の特徴

現場をまとめられるリーダーシップがある人です。

テレビディレクターはチームメンバーにテキパキと指示を出すことが求められます。また、良い番組を制作するためにメンバーのモチベーションを高めることも必要です。

加えて、現場では予期せぬトラブルが発生することもあり、そうした事態に対する解決策を提示することもテレビディレクターの仕事です。

チームで動くことや、人とコミュニケーションを取ることが好きな人でないと、テレビディレクターとして働くのはストレスとなるかもしれません。

加えて、新しい企画を生み出す企画力も必要です。
また、ロケの撮れ高や編集の出来などはディレクターの腕が試される部分になるため、
クリエイター気質も求められます。

まとめ

プロデューサーとディレクターは、テレビ業界では「全体を統括する責任者」「現場を仕切る演出家」というように明確に役割が分かれています。これは広告、IT、ゲームなど他業界でも共通する部分が多く、プロデューサー=企画や予算を動かす“管理者”ディレクター=現場を動かす“クリエイター寄りの実務者”という関係性は変わりません。

業界ごとに呼び方や比重は異なるものの、この役割分担を理解しておくことで、自分がどちらの立場で活躍したいのかイメージしやすくなるはずです。就活や転職活動の際に「自分が目指すキャリアはプロデューサー型か、それともディレクター型か」を考えてみると、業界研究も一層深まるのではないでしょうか。