アニメの仕事に携わりたいなら知っておきたい!アフレコとアテレコの違いは?

アニメや吹き替えの収録の際「アフレコ」や「アテレコ」というワードを耳にしますが、この2つの違いってご存知ですか? 今回は、声優を目指す人なら知っておきたい「アフレコとアテレコの違い」やその他の収録方法についてご紹介してい...


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アニメや吹き替えの収録の際「アフレコ」や「アテレコ」というワードを耳にしますが、この2つの違いってご存知ですか?
今回は、声優を目指す人なら知っておきたい「アフレコとアテレコの違い」やその他の収録方法についてご紹介していきます!

「アフレコ」と「アテレコ」とは

「アフレコ」と「アテレコ」はワードがよく似ているため混同されがちですが、実は同じようで微妙に違います。まずはこの2つの違いについて詳しくご説明していきます。

アフレコとは

アフレコとは「アフターレコーディング」の略で、アニメなどの映像が先に出来上がった状態で、その後から映像を基にレコーディングをするという意味になります。皆さんがアニメの収録と聞いて真っ先に想像すると思われるのがアフレコになります。
アニメ収録の場合は、作画制作の進行の都合上、絵が完成される前の線画(下書き段階のもの)で収録を行う場合が非常に多いです。むしろ絵が完成されている状態の方が稀と言われています。
喋り出しや喋り終わりの目印となる口パクの描写がわかりづらかったり、顔も描かれていない状態の中テロップで喋り出しのタイミングが表示されるだけの場合もあります。
口パクやキャラクターの表情、場面背景が絵では読み取り切れない分、台本の読解力や正確にタイムを取って喋る技量が必要となってきます。

アテレコとは

アテレコとは「当てる・レコーディング」の略で、海外ドラマ・映画の吹き替えや特撮作品のスーツアクターの演技など声優自らが演じていない、既に別の俳優が演じている作品に台詞を当てるという意味になります。
先に映像ができた状態での収録という意味ではこれも「アフレコ」と言えますが、吹き替えや特撮作品に限っては業界では一般的に「アテレコ」と呼ばれています。
※「アテレコ」は「アフレコ」の一種ともいえます。

アテレコの場合、既に役の動きや表情、台詞の言い回し、間の取り方などが決まっているので、映像・音声をしっかり確認してそれに合せた演技をしなければなりません。
また、海外ならではの言い回しや息の使い方(鼻で息を吸う、口で息を吸う、溜息など)、仕草、リップ音などがあるので、それらの細かい点も映像や台本から汲み取り、表現するための技量が必要となってきます。
海外作品には言いづらい人名や地名も多く出てくるので、もちろん滑舌の良さも大事です!

ややこしいですが、アニメ収録は「アフレコ」、外画などの吹き替え収録は「アテレコ」と覚えておくのがいいでしょう。

★アフレコ・アテレコのコツ
アフレコ・アテレコの際は、役の口パク終わりより少しだけ台詞を延ばして喋り終えるのがコツとなります。これを「パクをこぼす」と言います。
これは、映像で口パクやタイムを視認してから台詞を喋り出すまでに少しのラグが発生するので、このラグの分喋り終わりを延ばす必要があるためです。
慣れないうちは台詞を口パク終わりより早く言い終わってしまいがちですので(これを早上がりや台詞が走ったと言います)、ゆっくり喋ってパクをこぼすことを意識してみてください!

プレスコ

収録には「アフレコ」「アテレコ」の他に「プレスコ」というものがあります。
プレスコとは「プレスコアリング」の略で、先に音声収録をして、その後から映像をつけるという意味です。つまりアフレコとは真逆の収録方法ということになります。
決められた映像がない分、演技やタイム取り、アドリブなど役者の技量や裁量によってのびのびと収録ができます。

日本ではアフレコが主流の収録方法ですが、海外ではプレスコが主流の収録方法となっています。
しかし日本のアニメ制作の現場は非常にハードスケジュールのため、収録日に映像が間に合わないということも頻繁に起こります。その場合はプレスコでの収録となりますので、声優はアフレコ・プレスコどちらにも対応できるようにしておかなければなりません。

コロナ禍での収録方法

コロナ禍の影響を受け、収録現場でも収録ブース内での密集が禁止となり、収録そのものが中止・延期になってしまう現場も多発する事態となりました。そんな厳しい情勢の中、収録方法にも様々な変化が現れました。

別録り

元々は「一斉収録で台詞同士が被ってしまうなどの際に、その部分だけ後で別々に収録する」というような意味で別録りという言葉が使われていました。
しかしコロナ禍の影響で、人数制限による少人数収録、別ブースに分かれてのリモート収録というような方法での別録りが行われるようになりました。コロナ緩和で収録方法も元に戻りつつありますが、現場によってはまだ規制が厳しい場所もありますので、より現場での対応力が求められます。

宅録

こちらもコロナの影響で増えた収録方法です。自宅に収録機材と収録ソフトを用意し、先方から送られてきた台本と映像データを基に音声収録し、先方に音声データを送り返すという方法になります。ナレーションや簡単な音声収録は宅録で行われることが多くなりました。
自宅に収録環境を整えておけば外部のスタジオを借りる手間も省けるので、突然の案件やテープオーディション(実際に台詞を収録してオーディションに応募すること)にも対応できます。中には部屋のクローゼット内に防音スペースを作ったり、DIYで一から防音ブースを作る人も!

プロで活躍している声優さんやナレーターさんも自宅に収録部屋やブースを作り、そこで実際に仕事をしたり、朗読を収録してYouTubeにアップするなど精力的に宅録を取り入れています。
収録環境さえ整ってれば地方や海外からでもリモートで仕事が可能なので便利ですね!

その一方で、自宅で1人で収録をするということはディレクションや音声編集をしてくれる人がいないということなので、それらを全て自分で行わなければなりません。また、生活音やノイズが入ったり、住居が賃貸の場合は防音をしっかり整えないと騒音クレームにも繋がるので、そういった点が不安な方は外部の収録スタジオを借りた方がよりクオリティーの高い収録ができます。

宅録を検討している方は、オススメの宅録機材や宅録ブースの作り方がネットで沢山紹介されていますのでぜひチェックしてみてください!

まとめ

今回は「アフレコ・アテレコの違い」やその他の収録方法についてご紹介しました!
収録方法によって細かな違いや対応の変化がありますので、これから声優を目指す皆さんはぜひ参考にしてみてください!