ADの仕事内容はロケや収録などのイメージ通りのものから、「えっ?こんなこともADの仕事なの⁉︎」と思うような意外なことまで様々あります。
今回は、実際にADとして働いているスタッフに聞いたADの意外な仕事内容をご紹介したいと思います!
準備(仕込み)期間
入念な情報の裏取り
テレビ番組の制作において、「裏取り」という確認作業が命です。
「裏取り」とは、取材や情報の正確性を確認するためのリサーチ作業のことです。
これは、報道や番組制作において非常に重要なプロセスです。
テレビで発信される情報は、「どこかの誰かが言っていること、思っていること」を取り上げるのはNGです。「〇〇の、@@が言っていた」と、特定できなければなりません。データを取り上げる場合は、公の機関が公表しているものでないと載せられません。
データのグラフやランキングが出るときには、画面の隅に小さく「出典」と書かれています。そういった資料を集めたり、確認したりするのは、ADの仕事です。
「裏取り」では、例えば、公式HPや公的な研究機関の論文、新聞記事など複数のソースから情報を確認したりします。また、ネット上だけでなく、詳しい人に電話やメールなどで確認をすることもあります。地味な作業ですが、テレビで間違ったことを放送しないために行う非常に重要な仕事です。
取材
テレビ業界では取材をすることがたくさんありますが、その取材のお仕事の中でも、意外なことをする場合があります。
例えば、ディレクターが取材をしている間、取材を受けてくださる方のお子さんの子守りをADがすることがあったりします。その取材者が安心して取材を受けてくださるように、ベビーシッターのような役割を果たさなければならないこともあるということです。
また、変わった自動販売機に張り込みして、来た人に何を買ったかインタビューするなんていうこともあります。このようにある場所で張り込みをすることがテレビ業界ではよくあります。何人取材できるまで張り込みをするなどと目標人数があったりもするので、忍耐力との勝負になります。
ものづくり
番組で使用している大道具や小道具のほとんどは専門の美術さんにお願いすることが多いですが、番組スタッフが作ることもあります。例えば、美術品を裁縫で作ったり、大きな地図を手書きで作成したりします。字や絵が上手な人や手先が器用な人はお願いされることが多いかもしれません。
リハ―サル
スタジオ収録の本番前に行われるカメリハ(カメラリハーサル)では、実際に本番に近い形で出演者の動きや、物の出し入れ、カメラワークなどを確認します。このカメリハでは、ADが出演者役として動いたりします。そのカメリハで、カラオケ番組やアイドル番組などですと、ダンスや歌を披露しなければなりません。クイズ番組であれば実際にクイズを解いたりもします。それくらい本番と同じようにカメリハを行っているのです。
中には、カメリハで歌を披露しなければいけないからといってカラオケで練習しておく人がいたり、クイズ番組のカメリハに備えて、恥をかかないように少し勉強したりする人もいます。
ロケ・収録
前説
スタジオ収録の際、観覧客を入れて行われるケースがあります。このときに必ず行われるのが「前説」というものです。番組の収録前に、番組収録中の諸注意が伝えられたり、観客と拍手や掛け声の練習をしたり、トークで盛り上げたりして現場を温めるテレビ業界の大事なお仕事です。
その前説は特にバラエティ番組では芸人が担当することも多いですが、番組ADが行うこともあるのです。前説の雰囲気でその日の番組収録が左右されると言っても過言ではないため、「前説」をするとなると非常に緊張します。
食器洗い
グルメ番組など、番組内で食べ物を出す際にやらなければいけない仕事が「食器洗い」です。
必要な食器は、事前に美術さんに準備してもらったり、番組スタッフで購入したりしたものを使用します。その食器ですが、タレントさんに出すものなので、事前に綺麗に洗う必要があり、カメリハまでに食器洗いを済ませなければなりません。
例えば、わんこそばの企画だったり、タレントさんにたくさんの料理を出す企画だったりすると、大量の食器になるので、そのような時は本当に大変です。
もちろん、収録が終わった後も食器をきれいに洗って片付けます。
食べ物の調達
食べ物を収録中に出すとなると、ADが買いに行くことになります。
食材や食べ物を事前に買っておくこともありますが、出来立てや新鮮なものを食べてもらいたいとなると、収録中に抜け出して買いに行くことになります。
間に合わないとならないように、時間に余裕をもって時間を計算し、買いに行くことが絶対です。また、食べ物の数が足りない、予定していた試食人数よりも増えてしまい急遽食材が足りなくなった、調味料を購入し忘れていた、など、何度も買い出しに行くのはADあるあるなので、買い出しに行く回数をなるべく減らすためにも、多めに買っておく、本当に追加がないか何度も確認することが基本となります。
番外編
その他にも、以下のように、こんなこともするの!?という作業もあります。
番組の企画を成立させるために、資料作りのためやシミュレーションとしてなど、ADさんが身体を張って日々、色々奮闘することがあるのです。
・サイコロの確立出すのに1万回転がす
・1週間富士山の山頂に住む
・芸人さんがあるネタを過去に何回やったか、色々な番組を観て調べる
・1週間@@を食べ続けて痩せられるかどうか実際に試してみる
・ロケで使用する、野菜や虫などの生き物の世話
・カラオケの履歴を全て見てランキングをつくる
・あるお店で客が買っていった購入品のランキングをつくるために、お店から出てきたお客さんに
レシートの写真を撮らせていただき、それを見て自分たちで集計する
まとめ
今回は、意外なADのお仕事に関していくつか紹介しましたがいかがだったでしょうか。
普段何気なく見ているテレビの裏側では、こんなにも色んなことをしているのです。テレビでは誤った情報は流してはいけなかったり、企画が成り立っていなかったらアウトですので、確認作業が多かったりします。
実際のところ、ADさんが縁の下の力持ちとして、いろんな場面で動きまわり、調べまくっており、それによってディレクターを支えているからこそ、番組が成立しているのです。全身全霊で番組作りの土台を支えるのがADの大切な役割です。みなさんも是非、忍耐力をつけてテレビ業界に挑戦し、番組制作における重要な役割として働いてみませんか?