ヒット作品連発の秘密!韓国の制作会社『スタジオドラゴン』とは?

近年、韓国ドラマは世界中で「コンテンツビジネスの成功例」として注目を集めています。その代表格が『愛の不時着』や『トッケビ』を手がけた「スタジオドラゴン」。企画力や制作体制の強さに加え、グローバル展開を前提にした戦略が数々のヒットを生み出しています。 今回は、そんな話題作を制作している会社はどのような会社でどういった特性があるのかを見ていきたいと思います。


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近年、韓国ドラマは世界中で「コンテンツビジネスの成功例」として注目を集めています。その代表格が『愛の不時着』『トッケビ』を手がけた「スタジオドラゴン」。企画力や制作体制の強さに加え、グローバル展開を前提にした戦略が数々のヒットを生み出しています。
今回は、そんな話題作を制作している会社どのような会社でどういった特性があるのかを見ていきたいと思います。

ヒット作を次々と生み出すスタジオドラゴン

スタジオドラゴンとは、韓国の総合エンターテイメント企業CJ ENMのドラマ事業部門を元に2016年5月に設立された比較的新しい会社でありながら、同年12月に手掛けたドラマ「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」が同じくCJ ENMを母体とするケーブルテレビtvNで放送されると、ケーブルテレビでは異例の視聴率20%を越え、以降韓国ではスタジオドラゴン制作の多くの作品がtvNで放送されています。
その後も、2017年「秘密の森〜深い森の向こうに〜」がニューヨークタイムズ「国際テレビドラマTOP10」に選出、2018年「ミスター・サンシャイン」が韓国国内で「視聴者が選ぶ今年のドラマ」に選出されるなど、ヒット作を連発。
2021年「愛の不時着」最終話での視聴率が21.7%を記録し、tvNの歴代視聴率を更新。
日本でもちょうどコロナ禍のホームステイ期間と重なり爆発的な人気を誇り、韓国ドラマブームの火付け役となりました。

なぜこんなにもヒット作が多いのか

では、スタジオドラゴンは設立されてから現在までなぜこんなにも連続してヒット作を生み出すことができているのでしょうか。

それは会社に作家や脚本家、プロデューサー、監督など263名のトップクリエイターが所属する韓国最大手のコンテンツ制作会社であるからだと言えます。
韓国には「この俳優が出る作品なら間違いない」と視聴者が信頼を寄せる実力派俳優に対して「信じてみる俳優」と称えることがあるのですが、スタジオドラゴンはまさに「信じて見るスタジオ」
スタジオドラゴンが制作した作品はタイトルを見るまでもなく、その名がクレジットされていれば面白さは保証されていると言われ得るほどの信頼を築いているのです。

スタジオドラゴンの手がける作品

それではここからは、スタジオドラゴンが手がける人気作品について見ていきましょう。

「100日の郎君様」

韓国で高視聴率を記録したロマンティック時代劇EXOのメンバーとしても活躍するド・ギョンスの時代劇初出演作です。

【あらすじ】
朝鮮時代、王族である幼いイ・ユルはある日高官の娘であるユン・ソホに一目惚れをして衝動的に婚約を申し出るが、その直後にユルの父親が王座を狙い謀反を起こす。
ユルの父はその罪をイソの父に濡れ衣を着せ、イソの父は命を落としてしまいユルとイソは離れ離れになってしまう。
それから16年後、ユルは誰にも心を開かず孤独に成長する。
すると宮廷の陰謀に巻き込まれて記憶喪失になり、婚期を逃した庶民の女性ホンシムと結婚させられ100日間夫婦として過ごすラブコメディー。

「哲仁王后〜俺がクイーン!?」

2021年時代劇ドラマ視聴率No.1を獲得したラブコメ時代劇。
「ただひとつの愛」「30だけど17です」などに出演した”国民の娘”シン・ヘソンと、「愛の不時着」で大ブレイクしたキム・ジョンヒョンが共演し放送前から話題を呼んだ作品です。

【あらすじ】
大統領官邸でシェフを務める自信満々で女たらしなチャン・ボンファンは飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、何者かの策略で容疑者に仕立て上げられる。
逃げようとする最中プールに落ちて気を失ってしまい、目を覚ますとそこは朝鮮時代の王宮で自身の身体は婚礼を翌日に控えた王后キム・ソヨンのものであるとわかる。
設定が話題を集めた”魂入れ替わり”時代劇ラブコメディー。

「キム秘書はいったい、なぜ?」

韓国で大人気のウェブ漫画を実写化した話題作。

【あらすじ】
大企業の副社長を務めるイ・ヨンジュンは容姿・頭脳ともに完璧だが自分のことが大好きなナルシストであった。そんな彼を秘書のキム・ミソは9年間支えてきたが、恋や結婚をして自分の人生を歩みたいと考え、彼に辞職を宣言する。そのことにショックを受けたヨンジュンは、必死に引き止めようとプロポーズまでするも断られる。そんな中、ミソが大ファンと公言するヨンジュンの兄でベストセラー作家のソンヨンがアメリカから帰国し、ミソにアプローチを始める三角関係ラブコメディー。

「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」

数々の作品の主演を務めた大人気俳優コン・ユが5年もの間、脚本家キム・ウンスクからラブコールを受け続け、満を持して4年ぶりに挑んだドラマ。

【あらすじ】
高麗時代の英雄だったキム・シンは、若き王の嫉妬から逆賊扱いを受け命を落としてしまう。
その後、彼は神の力により”不滅の命”を生きる”トッケビ”となってしまい900年以上の時を経る。永遠の命を終わらせることのできる”トッケビの花嫁”を探す中で、女子高生ウンタクと出会い、自分こそがトッケビの花嫁であると宣言される。
一方シンの家臣の子孫のユ・ドクファがシンの家を死神に貸し出し、シンと死神の共同生活が始まってしまう。そこに親戚から厄介者扱いされていたウンタクが押しかけてきて、”不滅の命”の終わりを望んでいたはずのシンの心は揺らぎ始める。
同じ頃、死神はウンタクのバイト先の社長であるサニーと出会い、シンはウンタクに死神はサニーに振り回されながら恋心を自覚していくラブストーリー。

「愛の不時着」

大ヒット作を連発する脚本家パク・ジウンが脚本を執筆、ヒョンビンとソンイェジンが共演した作品。2020年には本作品に並び「梨泰院クラス」や映画「パラサイト」のヒットにより、第4次韓流ブームを引き起こした。

【あらすじ】
韓国の財閥令嬢で起業家のユン・セリがパラグライダー中に竜巻に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまう。北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョクはセリを救出し自宅にかくまい、秘密裏に異国させることを決意する。そのために偽の婚約者として暮らし始めるがお互いに惹かれ合う、韓国の女性と北朝鮮の軍人による禁断の愛を描いたラブロマンス。

日本で話題のリメイク韓国ドラマ

近年、大ヒットした韓国ドラマ作品を日本でリメイクすることも増えています。
例えば、「梨泰院クラス」「六本木クラス」として日本でリメイクされています。
そこでスタジオドラゴンが手がける日本リメイク作品を見てみましょう。

「私の夫と結婚して」

原作はNAVERウェブ小説で、韓国でウェブ漫画化されLINE漫画ランキングで1位を獲得。
その後、韓国国内で人気俳優で実写化され大ヒットし、Prime Videoで世界発信された非英語コンテンツの配信後4週間の視聴数ランキングでアジア作品として最高の視聴実績を記録
その圧倒的な人気で日本ドラマ化が今年実現し、韓国の大手エンターテイメント企業であるCJ ENMスタジオドラゴンタッグを組んで企画を手掛けました。

【あらすじ】
末期がんで入院中の美沙は幼馴染で親友の麗奈と夫・友也の不倫現場を目撃し、二人に殺されてしまう。だが、その時美沙は10年前にタイムリープし人生をやり直すチャンスを手にした。
最低だった運命を変えるためにクズ夫の友也を麗奈と結婚させ、2人に復讐しようと決意する。そんな美沙に、1度目の人生では関わらなかった勤務先の部長・鈴木亘が現れ、予想外の変化をもたらしていく人生リセットストーリー。

まとめ

いかがでしたでしょうか?韓国ドラマの成功は、単に脚本や俳優の力だけでなく、制作会社・配信プラットフォーム・国の支援が連動した「産業としての仕組み」によって支えられています。その中でも今回紹介した「スタジオドラゴン」は、企画から制作、海外配信までを一貫して手掛け、コンテンツを“グローバル商品”に育てる好例です。エンタメ業界を目指す就活生にとっては、作品を楽しむだけでなく、その裏にある「ビジネスモデル」や「制作体制」を学ぶことが、自分の将来像を描く上での大きな武器になるはずです。また、日本での韓国ドラマブームもまだまだ続いており、今後も日本版リメイク作品が登場すると見込まれています。韓国版と日本版にはそれぞれの良さがあって楽しめるので次はどの作品がリメイクされるのか楽しみですね!