【映画業界研究】映画館の種類・上映形式・レイティングなどについて解説!

「何気なくシネコンやミニシアターと呼んでいるけど、そもそも映画館の種類にはどんなものがあるんだろう?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。今回は、映画館の種類や上映形式、レイティングなどについて詳しく解説していきま...


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「何気なくシネコンやミニシアターと呼んでいるけど、そもそも映画館の種類にはどんなものがあるんだろう?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。今回は、映画館の種類や上映形式、レイティングなどについて詳しく解説していきます。

映画館の種類

映画館の主な種類は、以下の2つです。

・シネマコンプレックス

・一般館

同一の施設内に複数のスクリーンを持つ映画館「シネマコンプレックス」

シネマコンプレックスとは同一の施設内に複数のスクリーンを持つ映画館のことで、略称である「シネコン」や「複合映画館」と呼ばれるケースもあります。さまざまな定義があるものの、概ね5つ以上のスクリーンを持つ映画館をシネマコンプレックスとする傾向にあります。

日本の主なシネマコンプレックスは、以下の通りです。

・イオンシネマ

・TOHOシネマズ

・ユナイテッド・シネマ

・MOVIX

・109シネマズ

・シネマサンシャイン

映画館全体における営業形態の割合としては、全体の約7割がシネマコンプレックスの形態をとっているようなので、大きなウェイトを占めているのが特徴です。また、映画の入場料の他にも、ライブビューイングや飲食物の料金も収入源となっています。

スクリーン数が4つ以下の映画館「一般館」

一般館とは基本的にスクリーンが4つ以下の映画館を指し、主な種類は以下の4つです。

・ミニシアター

・名画座

・直営館

・成人映画館

ここからは、それぞれについて詳しく解説していきます。

一般館

ブロック・ブッキングの形式を採用していない独立的な映画館「ミニシアター」

ミニシアターとは、ブロック・ブッキングの形式を採用していない独立的な映画館で、「単館系」と呼ばれる場合もあります。ブロック・ブッキングとは、映画作品における賃貸協定で、配給側が映画館側に複数作品を一括予約させるシステムのことです。ミニシアターではシネコンでは上映されない以下のような作品を上映しており、高いオリジナリティを持っています。

ミニシアターで上映される作品の特性

・マイナーな作品

・低予算な作品

・アート性の高い作品

・社会性の高い作品

・新人の監督・俳優の作品

ミニシアターで上映したことをきっかけに有名となった作品も多く、例えば「ニュー・シネマ・パラダイス」「ベルリン・天使の詩」「アメリ」などがあります。なお、ミニシアターのスペックの目安は、席数200以下・スクリーン1〜2個程度です。

旧作をメインに上映する映画館「名画座」

名画座とは、旧作をメインに上映する映画館のことです。作品公開後1年以内の作品を取り扱った映画館は「二番館」「三番館」と呼ばれていたものの、現在では名画座に含まれています。近年では映画館で公開後すぐにAmazonプライムビデオなど動画配信サービスで見られるケースも多く、名画座も姿を消しつつあります。

映画の製作配給会社が直営している映画館「直営館」

直営館とは、映画の製作配給会社が直営している映画館のことです。かつては東宝・東映・松竹が直営していた映画館を意味しました。しかし、2025年3月現在では、東映が唯一の直営の劇場を持っているのみとなっており、その最後の直営映画館である「丸の内TOEI」も2025年7月27日に閉館が決定しました。直営館は時代とともに、シネマコンプレックスに変化しているのが特徴です。東宝では2006年・松竹では2011年頃にそれぞれTOHOシネマズ・松竹マルチプレックスシアターズに集約・移行しました。

成人映画の上映を専門とする映画館「成人映画館」

成人映画館とは、成人映画の上映を専門とする映画館のことです。東京・大阪・名古屋などの都市部をメインに営業しているものの、動画配信やレンタルの普及とともに減少傾向にあります。3〜4本立てで上映するケースが多く、女性は入場制限があるのが一般的です。数は少ないものの新規営業スタートする劇場もあれば、成人映画館から名画座に転向する劇場もあります。

映画館のスクリーン数は全国でどれくらい?

一般社団法人日本映画製作者連盟によると、2023年12月末での全国のスクリーン数は合計3,653スクリーンです。都道府県別に見ると東京都がトップで、以下の通りとなります。

・東京都  413スクリーン

・愛知県  265スクリーン

・大阪府  241スクリーン

・埼玉県  226スクリーン

・神奈川県 221スクリーン

映画の上映形式

映画館の上映方式は、以下の通りです。

【上映形式】

IMAX
高精細な映像を高品質な音響で楽しめるシステム大型スクリーンで鑑賞できる

Dolby Atmos(ドルビーアトモス)
頭上や周囲に設置された個別スピーカーを駆使して、音の移動を体感できる。リアルで臨場感あふれる音で映画を楽しめる

Dolby CINEMA
最新技術を採用したHDR映像とDolby Atmosが合体したシステム。全国で10館が対応している

SCREEN X
正面・左右の3方向にスクリーンが設置された次世代型映画上映システム
270度の視界が映像で覆われるため没入感が高い

映画館オリジナルシステム
TOHOシネマズの「TCX」やイオンシネマの「ULTIRA」など

IMAXは全国各地に対応した映画館があるため、知っている人も多いでしょう。一口にIMAXと言っても「IMAXデジタルシアター」「IMAXレーザー」「IMAXレーザー/GTテクノロジー」の3種類があり、全国的に普及しているのは「IMAXレーザー」です。音の移動がすることで臨場感を醸し出す「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」なども人気があり、導入館が増えつつあります。SCREEN Xと4DXと組み合わせた「4DX SCREEN」も存在し、日々進化を遂げています。映画館オリジナルの上映方式もあり、TOHOシネマズの巨大スクリーンで鑑賞できる「TCX」やイオンシネマの巨大スクリーンと立体音響が楽しめる「ULTIRA」などさまざまです。

年齢による鑑賞制限「レイティング」について

映画のレイティングというのは、いわゆる年齢による鑑賞制限のことです。映画館ではそれらの区分がどのようにされているのでしょうか。日本では4種類、厳密にいうと6種類あります。日本では映画倫理機構という組織が作品を見て決定しています。行き過ぎた表現がないかをチェックする組織で、国からは独立した組織です。ここに国が入ると“検閲”になってしまうので、とても大切なところです。

まず最初がG、これは誰でも見ることができます。そのため、あえて映画会社から言うことはありません。

PG-12

次がPG-12、PGはParental Guidanceの頭文字で保護者の助言があったほうがいいと言われています。あくまでもあったほうがいいということで、結果的にこれもまた誰でも見ることができます。意味合いとしては「刺激が強いですよ!」というぐらいです。

R-15とR-18

入場規制・鑑賞規制があるR-15とR-18。R指定とか15禁、18禁と言われているものです。これはそれぞれ15歳未満、18歳未満は見られません。ただ、中学卒業~高校入学までの期間や留年した高校生などなどグレーゾーンがあって、映画館によって多少対応が異なります。例をあげると、深作欣二監督の『バトルロワイアル』です。中学生の1クラスが最後の一人になるまで殺しあうというショッキングな内容で当然のようにR15が付きました。

他にもある2つの分類

実はさらに2つ分類があって、「審査適応区分外」というのと「映倫未審査」というものがあります。適応区分外というのは何歳であっても推奨できないという意味のものですが、こんな作品はめったにありません。逆に最近増えてきたのが未審査の作品、いわゆるインディーズ映画がこれにあたりますが、一昔前までは自主映画といえば中・短編どまりで、一般的な劇場公開はあまりされませんでした。しかし最近のデジタル技術が向上し、高クオリティかつ低コストで映画を撮ることができるようになって、結果的に60分以上の長編映画が一部の劇場でロードーショー公開されるようになりました。映画館の番組編成責任者が公開を決めるぐらいですから、相応のクオリティですが、何分自主映画ということもあって表現の部分では結構キワドいものもあります。実例が増えてきているので、いずれ何かしらのルールができるかもしれませんね。

海外のレイティングは?

海外の映画のレイティングも年齢の部分が多少変わりますがほぼ同じで、一番上が大抵18歳です。日本で海外の映画のレイティングをするときはその映画の母国のレイティングが参考になったりもします。

まとめ

いかがでしたか。今回は映画館の種類や上映形式、レイティングにはさまざまな種類があることが分かりました。今回の記事を参考にして、ぜひ映画ライフを楽しんでみてくださいね。