テレビや映画でおなじみのジャンル『ドキュメンタリー』。実はいろいろな種類があるってご存じですか。何気なく見ているドキュメンタリーですが、深掘りしていくと結構奥が深い分野です。今回はそんなドキュメンタリーについて制作側の視点でまとめていきたいと思います!
ドキュメンタリーってなに?
『ドキュメンタリー』とは、現実にある出来事や人物、問題などを、事実の記録をもとに作りあげた映像のことです。
テレビだけでなく、ラジオや映画などもあります。
その場で起こっている事象を記録して作品にしているものや、過去の文献・歴史上の事実から状況を再現して作品にしているものなど、表現にはさまざまな種類があります。
記録映像との違いは?
ドキュメンタリーとは、史実や記録に基づいてつくられた作品ですが、「記録映像」とは少し違います。
「記録映像」は、起こったことを忠実に伝える事が目的のため、その場にいる人の心情や、作り手の意図などは排除された映像になります。
一方で、ドキュメンタリーは、関係者の思いや、裏にある真実などを積極的に描き、起承転結があり、ストーリー性を持つのが特徴です。
ドキュメンタリーの題材ってどんなのがあるの?
ドキュメンタリーの題材は、これと決まったものはなく、例えば『歴史』、『政治』、『動物や植物などのネイチャー系』、『スポーツ』、『食や文化』など、映画のように多くのジャンルが存在しています。
過去にあった出来事を振り返る作品もあれば、これまで知られていなかった面白い人物やトピックへの関心を高めるものであったり…。
幅広いジャンルがあるのもドキュメンタリーの魅力の一つです。
ドキュメンタリーの手法ってどんなのがあるの?
ドキュメンタリーの手法もさまざまありますが、今回は代表的な4つの手法を紹介していきます。
観察型
ドキュメンタリーを思い浮かべた時、一番想像しやすいのがこの観察型かと思います。作品にする人物(対象)を決めて、一定期間密着取材をして映像をとっていきます。
『情熱大陸』のような、ある仕事のプロを追いかけてその人間性を描くものや、『ナショナルジオグラフィック』のように動物の生涯を観察し、生命の繁栄を題材にしたりするのがいい例です。
インタビュー型
インタビュー型とは、あるテーマのドキュメンタリーを作ろうと決めた時に、そのことを知っている人や、専門家などにインタビューをして真実を浮き彫りにしていく手法です。
過去に起こった事件がどのように解決されたか、昔に起こった出来事の隠れた真実を解き明かすなどが当てはまり、例えば、『アナザーストーリーズ』などがいい例ですね。
再現型
再現型は、過去の文献・インタビュー・過去映像などを基に真実を描きます。
例えば、歴史上の人物がどのようにして天下を治めたかをテーマにするとき、過去の資料に基づいて脚本を作成し、キャストが再現します。『プロジェクトX』などが例にあたります。
詩的表現
詩的表現は美しい映像に、詩的表現を付けて作る手法です。
この場合、事象や真実よりも、ムードやトーンに重きが置かれます。例えば、世界遺産の美しい映像に、昔から言い伝えられている神話をのせる、などがその例です。ドキュメンタリーの冒頭で、壮観な神社仏閣が映り、その土地にまつわる神話がナレーションで入る…などのシーンをよく見かけると思います。
こういった手法を組み合わせて、ドキュメンタリー映像は作られて行きます。
ドキュメンタリーってどうやって作られるの?
では、実際にドキュメンタリーを作るには、どのような手順を踏んでいくのでしょうか。
一般的な流れを解説していきます。
題材について徹底的にリサーチする
まずは、自分が作る作品の題材について、徹底的にリサーチをします。
題材が人物や出来事であれば、その人物についての映像や過去文献などを調べ、本人またはその人物をよく知る人へインタビュー取材を行います。大昔の新聞や、雑誌、書籍、インターネット、SNSなど、ありとあらゆる手段を使って調べつくします。
そしてその膨大な資料を基に、大筋となる物語を作っていくのです。
ストーリーの概要を作る
続いて、膨大な資料を基に、ストーリーを考えます。
これは再現だけでなく、これから起こることを題材にするときも行います。ドキュメンタリーは現実に起こったことを題材に映像にまとめていくことも多いですが、おおよそたどるであろうストーリーをあらかじめ考えておく必要があります。
もちろん、予想と違った方向にストーリーが展開することも視野に入れて準備をしていきます。
撮影する
追いかける対象や、インタビューする相手が決まったら、撮影をしていきます。
ここでは前述した「リサーチ」と「ストーリーの概要を作る」のフェーズで、どれだけしっかり準備できていたかでかなり大きな差が出ます。
ドキュメンタリーの対象をしっかりと調べ、ストーリーの流れをあらかじめ考えることは、取材の取りこぼしを減らすことができます。
撮影の際は、物語がどう転んでも軌道修正ができるように、不要だと思えるようなシーンもしっかりと撮影します。
インタビューする
インタビューは話の軸になり得る重要な部分です。
複数回に分けてインタビューして、何気ない質問を投げかけるなど、本質とは関係のないこともたくさん収録しておきます。
まとめ
今回は、ドキュメンタリーの制作についてあれこれ解説しましたがいかがでしたでしょうか。昨今、テレビ局主体のドキュメンタリー映画祭が開催されたり、地方局発のドキュメンタリーが映画館で上映されたりと、何かと盛り上がっているジャンルですので、ぜひ注目してみてください!