変化するテレビ業界の今と未来!最新の成長戦略とこれからの働き方について解説!

テレビを取り巻く世界には、大小さまざまな動きがありますが、現在の業界はどうなっているのか気になりますよね。今回はテレビ業界の現状と未来について詳しく解説していきます。 テレビ業界の現状と課題 視聴率の低下やそれに伴う広告...


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テレビを取り巻く世界には、大小さまざまな動きがありますが、現在の業界はどうなっているのか気になりますよね。今回はテレビ業界の現状と未来について詳しく解説していきます。

テレビ業界の現状と課題

視聴率の低下やそれに伴う広告収入の減少など、取り巻く環境が厳しさを増しているテレビ業界。そこで今回はテレビ業界の現状と課題についてみていきます。

テレビ広告の減少

ビデオリサーチによると、2022年度第2四半期終了時点における、関東地区でのゴールデンタイムのPUT(総個人視聴率)は32.4%。新型コロナの影響が大きかった2020年度は、前年度より上昇して38.1%でしたが、1年半で大きく下落しています。
電通が毎年発表している「日本の広告費」によると、重要な収益源であるテレビ広告の売上高は、2016年の1兆9,657億円をピークに4年連続減少。2020年にはコロナ禍の影響もあって1兆6,559億円にまで縮小しました。2021年にはコロナの影響が緩和されたことで1兆8,393億円まで回復したものの、こちらも下落傾向であることに変わりはありません。市場縮小の大きな要因としては、スポンサー企業がインターネット広告に流れてしまったことが挙げられます。
スマートフォンの普及や4G・5Gの台頭、動画配信サイトの視聴者層拡大といった動向が追い風となり、2020年にはインターネットの利用時間がテレビの視聴時間を超えました。近年はスポンサー企業のターゲット層とテレビ視聴者層の乖離も指摘されており、2021年にはインターネット広告が売上でテレビ広告を上回っています。

制作会社の賃金問題

テレビ番組を制作しているのは、テレビ局のスタッフだけではありません。そのため、従来であればテレビ局のスタッフと番組制作会社のスタッフが協力しあって一つの番組を作り上げる必要があります。
しかし、現状のテレビ業界ではテレビ局のスタッフと制作会社のスタッフ間に賃金面や待遇面での差があります。両者の格差が大きいことが問題になり、制作会社のスタッフがストライキを起こすまでに深刻な状況になってしまっているケースもあります。テレビ局の広告収入が減少し、番組制作費が抑えられている中で、現場のスタッフの報酬が削られるケースも多いようです。もちろんテレビ業界全体が上記のような事例に該当する訳ではありませんが、そういった事例が少なからずあることは事実です。

テレビ業界の今後の動向

さまざまな課題を抱えるテレビ業界ですが、一方で変化の兆しも見えています。具体的にその動きをご紹介します。

動画配信の活性化

テレビを見る層は年々減少しているものの、映像コンテンツを見たい人は依然として多く存在します。そのような視聴者がYouTubeやNetflixなどに代表される、インターネット上の動画コンテンツを楽しんでいるのが現状です。
動画コンテンツを楽しみたい人が多いということは、やり方によってはテレビ局が制作するコンテンツが地上波に限らず視聴される機会はもっと増える可能性があるということになります。民放テレビ局が連携した公式テレビポータルサイト「TVer(ティーバー)」では、各局の好きな番組を、好きな時に、好きな場所で視聴できます。
インターネットを利用して幅広い視聴者に届けることが今後のテレビ局にとっては非常に重要です。最近では上記のようなサービスが普及し、気軽にテレビコンテンツを楽しめるようになりました。
このように、テレビ局がインターネットを積極的に利用し、コンテンツを視聴者に提供することが出来れば、テレビ局は今後も企業としての成長が見込めるでしょう。

高齢層にはテレビが最大のメディア

若者のテレビ離れが深刻化している現代ですが、スマホが普及しているのは10代から30代までの若者層が圧倒的です。ですが、スマホの操作が不慣れな高齢者層には、未だテレビが最大のメディアとして扱われています。超高齢化社会の現在では、60代、70代の方々は今後もテレビを視聴し続けます。高齢者層向けのテレビ需要は今後も継続し続けると考えられます。

幅広い収益源の確保

最近ではテレビ広告・テレビ事業に限定されない、幅広い収益源の確保も推進されるようになりました。定額課金型の動画配信サービスの提供をはじめ、都市開発・観光・不動産・イベント・スポーツクラブ・EC事業の展開など多角的に行われています。

働き方改革

同時に業界全体で進められているのが、働き方改革です。業務のデジタル化による業務量・労働時間の削減、健康診断の実施、有給休暇・育児休暇をはじめとした休暇取得の促進、テレワーク制度の導入…。従業員の負担を軽減するため、さまざまな取り組みが行われています。

急速に進むテレビ業界の新陳代謝

テレビ業界の新陳代謝が急速に進んでいて、このような動きを敏感に察知した動きが求められます。では、実際に業界ではどのような動きがあるのでしょうか。詳しくご説明します。

映像産業全般に手を伸ばす制作会社

番組制作会社の中には非常に好調な会社もあります。中には、M&Aによって、多くの制作会社を傘下に収めて事業を拡大し、いまや東京キー局より多くの新卒採用数を誇っている制作会社も。その理由として挙げられるのはテレビへの依存度が低いからです。会社の一部門としてテレビ番組制作も維持していますが、ゲーム・ウェブコンテンツ・映画など映像産業全般に業務範囲は及びます。会社としては新しく、社員も若くて機動力があります。
テレビの制作をやめないのは、ある意味、企業としての信用度を高める「会社の看板」としての意味合いが強いのではないでしょうか。決して「テレビ制作にしがみついている」わけではないのです。

配信へビジネスの主体移す芸能事務所

芸能事務所も大きな変化を迎えています。タレントと経営者、そのどちらもが「古き良き20世紀」に活躍した世代を中心としていて、かつての芸能界を背負ってきたような会社が淘汰されつつあります。テレビ出演を中心にビジネスを回してきたような「テレビにしがみつく芸能事務所」が消え始めています。一方で、配信・ウェブやSNSなどがビジネスの主体になっているような新しい芸能事務所は、順調に業績を伸ばしています。

テレビ業界に今後求められる人材

時代に合わせた変化の真っ只中にあるテレビ業界。とくに求められているのは、デジタル化に対応できる知識・スキルと、既存の枠にしばられない発想力を備えた人材です。
たとえば動画配信サービスやSNSにくわしく、番組と絡めた活用方法を発案できる人材であれば、即戦力として活躍できるかもしれません。番組制作でも、企画・撮影・映像編集といった業務に、AIなどを活用した最先端技術の導入事例が増えています。テクノロジーに強い人材のニーズは高まる一方です。

まとめ

今回はテレビ業界の現状と未来についてご紹介しました。テレビ業界が衰退していると言われていますが、暗い話ばかりではありません。インターネットの普及に伴い、テレビは映像コンテンツの覇権をインターネットと競い合うようになりました。今後も新しいコンテンツがどんどん生まれるでしょう。テレビ業界は、これからも変化が多いことが予想されるので、今後もぜひ注目してみて下さいね。