バラエティ番組の密着ロケとは?番組制作のリアルな現場とスタッフの仕事内容を解説!

テレビのバラエティ番組でよく見かける「密着ロケ」。 芸能人や一般の方の一日にカメラが同行し、素の表情や普段の生活を切り取る人気の企画です。 今回は、そんな密着ロケの中でも、ある芸能人の自宅として、古民家を一から改装していくロケの中で、ロケ前の準備からロケ後のVTR完成までのADの動き方を紹介したいと思います。 番組制作に興味がある方やテレビ業界を目指す方にとって、現場のイメージがより鮮明になるはずなので、是非参考にしてみて下さい!


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テレビのバラエティ番組でよく見かける「密着ロケ」
芸能人や一般の方の一日にカメラが同行し、素の表情や普段の生活を切り取る人気の企画です。しかし、その裏側では、AD(アシスタントディレクター)をはじめとした制作スタッフが、入念な準備から当日の進行管理、撮影後の編集に至るまで、目まぐるしく動き回っています。
今回は、そんな密着ロケの中でも、ある芸能人の自宅として、古民家を一から改装していくロケの中で、ロケ前の準備からロケ後のVTR完成までのADの動き方を紹介したいと思います。
番組制作に興味がある方やテレビ業界を目指す方にとって、現場のイメージがより鮮明になるはずなので、是非参考にしてみて下さい!

ロケ前

密着ロケはロケ自体ももちろん大事ですが、準備がかなり大事です。
そこで、流れに沿って代表的な準備を紹介していきます。

密着先との予定を合わせる

まずは、ロケ先である密着先の方と連絡を取り、どのような日程で工事が進んでいくかを確認します。その中で、芸能人の方のスケジュールが空いている、かつ、工事の大工さんなどのスケジュールが合う日を探してロケ日を決定します。

ディレクターによってはフリーのディレクターで他番組のロケで忙しい方もいるので、全員の日程が合う日を確認します。

その際、工事の種類によっては建物の外観がガラリと変わってしまう大掛かりな工事もあるため、あらかじめそのような大掛かりな作業の日程は先に確認し、芸能人の方のスケジュールが空いていなかったとしても、制作のみで撮影だけさせてもらうこともあります

技術・車両・機材を押さえる

ロケ日が決定した後はロケ準備に移ります。

ロケを行う際には必ず、撮影する技術さん(カメラマン・音声)、ロケ地まで運転してもらう車両さん(車・ドライバー)が必要なので、ロケ日が決まり次第連絡をしてスケジュールを押さえます。

また、その際に事前にディレクターにカメラの台数などを確認し、技術さん用の機材レンタルを発注します。

機材のレンタルに関しては、人気の機材などは予約が取りずらいこともあるため分かり次第できるだけ速やかに予約をします

ロケスケを組む

技術・車両押さえが完了したらロケスケ(ロケスケジュール)を組んで行きます

工事の進行予定と、ディレクターが何をどれだけ撮影したいかの兼ね合いを確認しながらスケジュールを組みます。

その際、ロケに演者の方がいらっしゃった場合は、プロデューサーに演者サイドの時間を確認しながら制作用のロケスケと演者サイド用のロケスケの2パターン作成します。

演者サイド用のロケスケは主に控え室に入れておくためのものとなります。その他に、初出演のゲストの方がいらっしゃった場合は密着ロケの大まかな流れをまとめた紹介資料なども一緒に作成します。

お弁当の発注

ロケスケが組み終わり、時間や人数などが大体わかったらお弁当を発注します。ロケの規模にもよりますが、お弁当は大体ロケ地に配達してもらうことが多いです。発注する際は、何種類かのお弁当を発注して選んでもらえるようにします。

たまに、山奥や都会から離れたロケ地だと配達してもらえるお弁当屋さんがあまり無いため、事前にスーパーなど買い出しができるお店も調べておく必要があります。

ロケ準備

ロケまでに、撮影機材の他、必要な物を準備していきます。
古民家を一から改装していくロケでは様々な工具が必要だったため、ロケ毎に行う工事の内容を聞いて、必要な工具を準備していきました。

また、外での作業が主のため、夏場は熱中症対策用グッズ(凍らせた飲み物、冷感タオル)や冬場は防寒グッズ(カイロやホットドリンクのジャグ)なども用意します。

ロケによってゲストの演者の方がいたら、プロデューサーからゲストの方のサイズ表をもらって当日選んでもらえるように何パターンか衣装を用意します。

制作打ち合わせ

準備が終わったら、ロケまでに制作(P・AP・D・AD)で打ち合わせを行います
出発や当日の流れ、作業内容などを全員で確認し、準備物を最終確認します。

ロケ当日

ロケ当日のADの動きを流れに沿って見ていきます。

前回のロケから変化した箇所・作業を行う箇所を撮影

まず、ロケ地に着き荷物を下ろし終えたら、前回ロケを行った時から変わった箇所・その日作業を行う箇所を最初に撮影します。
密着と言っても、全ての工事にずっと密着できるわけでは無いので、もちろん撮影できない作業もあります。そのため、編集した際に繋がりがおかしくならないようにロケ毎に変化した箇所があれば撮影します。また、その日作業を行う箇所も、その日の進捗・変化を分かりやすくするためにあらかじめ撮影しておきます。

この作業は大体、ADと技術さんのみで行うので事前に撮影箇所をリストアップしておきます。

荷物の整頓

事前撮影を終えたら、撮影のために物を準備していきます。
その際に、円滑に撮影を進めるために、どこに何を置いているか確認して必要なものはカバンやポケットにあらかじめ持っておくようにします。

時間の確認

撮影を始めたら、ロケスケ通りに撮影が進んでいるか確認しながらロケに帯同します。ロケ中は何かあった際にすぐ動けるように撮影箇所の近くで待機することが多いです。もし、演者の方がいらっしゃる中で、ロケに押し巻きが発生した場合はP・Dに相談し調整してもらいます

撮影の終わり

撮影の最初と同じで、工事を行った箇所の進捗がわかるように、当日の朝撮影した画角と同じ画角で再度撮影します。これも繋がりのために大事な撮影となってきます。

ロケ後

ここからはロケを行った後、VTRを作成するまでの作業を紹介していきます。

ロケ素材

行ったロケをハードに入れて、段積み(編集ソフト上で カメラごとの映像素材を時間軸に沿って上下のトラック(段)に並べて配置する作業)作業を行った後ディレクターにハードをお渡しします。その際、大体いくつかのロケをまとめてハードに入れて渡すため、素材の漏れが無いかなどの確認が大事です。

内容確認

ディレクターにロケした内容を繋いでもらったVTRをもらったら、そのロケで行った工事や作業に用いた専門的な知識や用語の内容などの裏どり作業をしていきます。
もし、工具の説明などをしていた際は、工具の専門家などに連絡を取って説明している文言や内容の裏どりに協力していただき確認します。
また、伝統的な建築方法や歴史に関する情報などが入れ込まれている場合は、大学教授などに連絡を取り内容を確認していただきます。その際に参考画像などが必要な場合、併せて画像もお借りできないか相談することもあります。

その内容が間違っていたり、「こういった言い回しの方が適している」などの指摘をいただいたら、その情報をP・Dに共有し、ナレーションなどの文言を変更していきます。

そして全ての情報が問題ないことを確認してから編集箱でVTRを完成へと進めていきます。

まとめ

今回はバラエティの密着ロケ(古民家を一から改装)のロケ準備からロケ、VTRの完成までの流れを紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
基本的に密着ロケは、ロケで作業した順番通りにVTRを作成して放送していくのですが、たまに、番宣や告知などでゲストの方がいらっしゃった時は放送予定日によってはそのロケ内容を先に放送したり後に放送したりすることもあります。なので、密着ロケでは作業の繋がりが大事になってくるので、そのことを頭に入れながらロケを行うと良いと思います。

今回のロケ内容に関しては少し特殊かもしれないですが、準備から完成までの流れはどのロケも大体同じだと思うので、少しでも参考になれば幸いです。