【最新版】アーティスト主催の注目音楽フェス特集|氣志團万博・イナズマ・UNITEほか

音楽フェスのあり方が変化する中、近年注目を集めているのが「アーティスト自身が主催するフェス」です。氣志團万博やイナズマロックフェス、B’z presents UNITEなど、アーティストの思想やビジョンが色濃く反映されたイベントは、単なるライブを超えた価値を生み出しています。本記事では、定番フェスから近年復活・スタートした注目フェスまでを整理し、アーティスト主催フェスが音楽業界に与える影響や魅力を解説。音楽ファンはもちろん、業界志望者にもおすすめの内容です。


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2026年現在、音楽フェスは「アーティスト自身が主催する」スタイルがひとつの潮流として定着しつつあります。
氣志團が毎年開催する「氣志團万博」、西川貴教が地元・滋賀で育て上げた「イナズマロックフェス」、そして最近ではWEST.が初めて主催した音楽フェスティバル「WESSION FESTIVAL 2025」が大きな話題となりました。

アーティスト主催フェスの特徴は、出演ラインナップや企画内容に「アーティストのビジョンや個性」が強く反映されること。単なるライブイベントにとどまらず、地域振興やブランド展開など音楽業界における新しいビジネスモデルとしても注目されています。

本記事では、主要なアーティスト主催フェスを整理し、その魅力や業界的な意味合いをまとめました。音楽ファンはもちろん、業界を目指す学生や就活生にとっても「フェスを通じてアーティストがどのようにシーンを動かしているのか」を知るヒントになればと思います。

定番のアーティスト主催フェス

氣志團万博(氣志團)

初回は2003年。地元千葉県木更津にて開催。

2012年からは場所を千葉県袖ケ浦海浜公園に移し、2025年は幕張メッセ国際展示場にて開催されました。

「氣志團万博」の魅力

氣志團万博の魅力は「氣志團のおもてなし」だと出演アーティストが口を揃えて言います。

まずは、幅広い出演アーティスト。

2025年の出演アーティストを見てみると、細川たかし、10-FEET、クリープハイプ、20th Century、岡崎体育、秋山竜次(ロバート)、ももいろクローバーZ、ゴールデンボンバー、アイナ・ジ・エンド、超♡ときめき宣伝部、NEWSなど…男性女性問わず、アイドルからバンド、演歌歌手までジャンルを問いません

ファンにとっては、お目当てのアーティストだけでなく、新たなアーティストとの出会いの場にもなるし、出演者にとっても憧れのアーティストとの夢の共演の場になっているのではないでしょうか。

加えてフードの種類も多い。麺類やホットドッグなどのワンハンド飯、ステーキ丼などのガッツリ系まで幅広く揃えており、心だけでなくお腹も満たしてくれること間違いなし!

種類豊富なフードからもファンに対する氣志團のおもてなしが感じられます

氣志團が作る「お祭り空間」

老若男女問わず楽しめるお祭り空間は、氣志團の思いが存分に込められています。その一つが会場です。

これまでの野外から屋内になったことで、天候に左右されずアウトドアが苦手な方も、小さな子どもも熱中症を気にせず楽しめるようになりました。

「『氣志團万博』はビュッフェやバイキングのような存在で、寿司も焼肉もラーメンも焼きそばも食べられますし、なんならアイスクリームも食べ放題。全部楽しめるんですよ。」と綾小路翔さんは語っています。そんなメンバーが創る氣志團万博だからこそ、音楽だけでなく、フードや会場の空気、様々な人たちとの出会いがお祭り空間となっているのではないでしょうか。

イナズマロックフェス(西川貴教)

2009年に滋賀県初の大型野外フェスとして誕生。

雄大な琵琶湖と比叡山を望む抜群のロケーションで、昨年までで17回開催しています。

地元・滋賀県に恩返しをしたいという強い想いが起点となり、西川さん自身が行政や地域の人たちと一緒になって創り上げています。

イナズマロックフェスは地域振興型フェス

フェスの収益金の一部と、2013年から行っている出演者が出品するチャリティオークションの落札金を全額滋賀県に寄附しています。

毎年会場になっている琵琶湖畔の烏丸半島にも、素晴らしい琵琶湖の景色を見てもらうことで、水や環境問題について考えるきっかけになればという思いが込められています

また昨年「イナズマ」初の試みで、『ふるさと納税』を活用したチケット販売を導入。滋賀県、草津市のそれぞれの『ふるさと納税』の返礼品に「イナズマ」のチケットが加わることになりました。

年々規模が拡大していくイナズマロックフェス

イナズマロックフェスは、開催3年目で、早くも10万人規模の大観衆で盛り上がるフェスに成長しています。

そこで、チケットが無くても入れる“入場無料エリア”を充実させ、滋賀のご当地グルメが楽しめるフードコートを設置地元の人に喜んでもらいたいという西川さんの想いがぎっしり詰まったフェスへと進化しているのです。このフードコート企画は、ライブ会場への出店権をかけた前哨戦イベント『イナズマフードGP(グランプリ)』開催へと繋がっていきました。

また、ロックフェスというネーミングではあるものの、出演者はアイドルグループやお笑い芸人などロックファン以外も楽しめるプログラムによって老若男女問わず多くの観客を魅了しています。昨年のアーティストにも=LOVE、Novelbright、ももいろクローバーZ、IS:SUE、エルフ、フースーヤーなどと幅広い方々が揃っています。

B’z presents UNITE(B’z)

2021年にB’z自身がオーガナイザーとなった初のRock Project。

コロナ禍で様々なイベントが中止せざるを得ない状況だった中、少しでもコンサート・エンタテインメント業界に光をともすことができればという願いから始まった新たな試みでした。

そこから4年、2025年6月に2度目となる『B’z presents UNITE #02』が開催されました。

豪華アーティストの共演

#01では、日本の音楽シーンを牽引し、共に刺激し合い団結しているMr.ChildrenとGLAY#02では、B’zと同じ1988年結成、現在も第一線で活躍を続けるTHE YELLOW MONKEY、日本のみならず世界にも台頭するマキシマム ザ ホルモン、MAN WITH A MISSION、ONE OK ROCK豪華共演が魅力です。

また、上記であげたフェスとの違いは、1アーティスト1日ということです。1曲2曲だけではなくたっぷり堪能できることもこのフェスならではなのではないでしょうか。

京都音楽博覧会(くるり)

京都音楽博覧会は“環境・文化・音楽”をコンセプトに、京都市の梅小路公園で2007年から開催されている、京都出身のロックバンドくるり主催のイベント。通称「音博(おんぱく)」

国内外のアーティストが出演するライブはミュージシャンならではの視点による演出や、ここでしか見られないコラボレーションなどで毎年注目を集めています。

また、くるりのメンバーが厳選した京都のお店を紹介する“音博マーケット”の出店や、フードエリアで出た食材の使い残しや食べ残しを堆肥に変える「資源が“くるり”プロジェクト」など、一大イベントが繰り広げられます。

資源が“くるり”プロジェクト

京都音博を開催するにあたり「地域や会場である梅小路公園へ還元できることをという思いから、2022年度より「資源が“くるり”プロジェクト(以下、資源が“くるり”)」をスタート。その取り組みのひとつとして「食品由来の廃棄物から堆肥を作るための “コンポスト” 」を梅小路公園に設置。フードエリアで出る廃棄材料や食べ残しを堆肥に変え、公園内の花壇の肥料にするという取り組みです。

また他にも「古着の回収コーナー」、「資源がくるりプロジェクトからできた完熟たい肥お持ち帰りコーナー」、「美術家のアトリエから出る廃木材、ねん土等の持ち帰りコーナー(副産物産店)」、「ミックスジュースが作れる自転車MIX BIKEで楽しく環境によいジュースを作るコーナー(CORNER MIX)」、「京都発祥のフェアトレードブランド、シサム工房(シサム工房)」や「梅小路公園から丹波(亀岡)をめぐる循環型社会を体験するツアー(めぐりめぐるぐるり京都)」の活動紹介など音博を楽しみながら地域の環境をより良くするきっかけとなるようなコーナーが設置されています。

開催当初から、環境に配慮したさまざまな取り組みを行ってきたおかげもあり、これまでイベント終了後にごみが散乱しているような状態を見ることはほとんどないそうです。

このように音楽をきっかけに環境問題などにも触れることができるのは音博ならではの魅力の1つではないでしょうか?

近年スタート・復活した注目フェス

WESSION FESTIVAL(WEST.)

WEST.が初めて主催した野外音楽フェスWESSION FESTIVAL2025が大阪・万博記念公演で2日間開催され、WEST.含む11組の豪華アーティストが集結し、約6万人の観客を楽しませました。

番組連動企画

2024年、デビュー10周年を記念してWOWOWとタッグを組んで行ったオリジナルライブが大反響を呼び、これを受けて2025年にはレギュラー番組の放送・配信が決定。

WEST.と親交のあるアーティスト、そしてWEST.が共演したいアーティストをスタジオに招き、音楽について語り、楽曲提供やセッションを行うなど見どころ聴きどころすくめの番組だ。そんな番組の連動企画でスタジオを飛び出し、それぞれがWEST.とセッション=“WESSION”するのが本フェスの醍醐味

出演アーティストも番組に招いたアイナ・ジ・エンド横山裕、サンボマスターなどWEST.に縁のある面々が揃っています。

LUNA SEA主催 LUNATIC FEST.

LUNATIC FEST.は、LUNA SEAが主催するロックフェスとして2015年、2018年に開催されてきた、国内屈指のスケールと世界観を誇るイベントです。

2025年11月、約7年ぶりとなった3回目の開催では、幕張メッセを舞台に2日間にわたり実施され、ロックシーンの第一線で活躍するアーティストたちが集結。
長い空白期間を経ての復活ということもあり、発表時から開催後まで大きな注目を集めました。

復活開催で示された「LUNATIC FEST.」の存在感

今回のLUNATIC FEST.では、STYLE STAGE/MOTHER STAGEの2ステージ制を採用し、世代・ジャンルを超えた多彩なアーティストが出演しました。

THE YELLOW MONKEY、UVERworld、凛として時雨、T.M.Revolutionなど、それぞれが強い個性を放つアーティストが一堂に会し、フェスならではの緊張感と高揚感に満ちた空間が生まれました。

過去の開催では、LUNA SEAメンバーが他アーティストのステージに飛び入り参加したことでも話題となり、アーティスト主催フェスならではの“距離の近さ”を象徴する瞬間として記憶されています。今回の復活開催でも、そうした歴史や文脈を含めて注目が集まりました。

また、会場外施策として展開されたコラボレーション企画や展示も含め、ライブ本編にとどまらず、LUNA SEAの世界観を多角的に体験できる構成となっていました。

復活開催を経て、LUNATIC FEST.は 単なる“大型ロックフェス”ではなく、アーティスト主催フェスの象徴的存在として、 あらためてその存在感を示したと言えるでしょう。

NANO-MUGEN FES.(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

NANO-MUGEN FES.は2003年新宿LOFTから立ち上げ、2004年からは海外バンドも加わり日本武道館、横浜アリーナ2daysにて規模を拡大して開催。日本のロックバンドはもちろん海外からもWEEZER、ASH、MANIC STREET PREACHERS、SUEDE、ZEBRAHEAD、The Cribsなど邦楽洋楽バンドの垣根を超えたラインナップを続けてきたロックフェスティバルです。2025年には、2014年の開催以来11年ぶりに過去最大キャパシティで復活。神奈川県・Kアリーナ横浜に延べ3万5千人の音楽ファンが集結し、 アーティストが主催するフェスならではの一体感と高揚感に満ちた2日間となりました。

初の海外開催『NANO-MUGEN FES. 2025 in Jakarta』

今回は現地の諸事情により、中止となってしまいましたが、本来は昨年8月におこなわれたアジカン初のインドネシア単独公演をきっかけに、日本とインドネシアを音楽で繋ぐ形となり、初のNANO-MUGEN FES.の海外開催を予定していました。

そもそも今回のNANO-MUGEN FES.は、ジャカルタでの開催を目的として11年ぶりに立ち上げたフェスだったそうです。ASIAを冠するバンドとして自分たちのアイデンティティに対する思考を深めつつ、ASIAのミュージシャンたちとの交流をはじめたい、そんな想いが核にあったそうです。

残念ながら今回は中止となってしまったジャカルタでの開催ですが、Kアリーナ横浜には、国内外からの13アーティストに加え、『NANO-MUGEN FES. 2025 in Jakarta』にのみ出演予定だった3アーティストのサプライズゲスト参加も実現。世代も国境もジャンルも越えて「過去」「現在」「未来」を繋いだフェスとなりました。

その他アーティスト主催フェス

Perfume FES!!(Perfume)

Perfume FES!!はゲストアーティストを呼んで行う対バン形式のライブで2013年から開催されてきました。このライブはメンバーの発案で対バン相手となるアーティストを選び、彼女たちが自ら出演オファーをかけるというもの。当時、「アイドル自らがバンドにオファーをして対バンツアーを組む」というのは、まだ誰もやっていなかったことなのでPerfumeが先駆者的な試みを実現させたと言えるのではないでしょうか。また、2023年には『テレビ朝日ドリームフェスティバル2023×Perfume FES!!』として、テレビ朝日が主催するドリームフェスティバルの最終日にコラボ開催され、マキシマムザホルモンのナヲやきゃりーぱみゅぱみゅとのダンスコラボが話題になりました。

KOYABU SONIC(小籔千豊)

お笑いタレント、小籔千豊主宰の音楽フェス「KOYABU SONIC」は2008年に初めて開催され、昨年で13回目を迎えました。主宰者である小籔千豊がアーティストのラインナップから会場のレイアウト、コヤソニならではのコラボ企画まで完全プロデュースしています。2025年には過去最多動員となる約2万人が来場。
また、2025年4月に5人での“1年限定復活”を発表したRIP SLYME11年ぶり2度目の出演を果たしたことも話題となりました。
お笑いだけでなく、音楽活動も行っている小藪さんならではの幅広いジャンルの出演者も魅力の1つとなっているフェスです。

1CHANCE FESTIVAL(WANIMA)

「1CHANCE FESTIVAL」はWANIMAの地元・熊本で実施される音楽フェス。2022年9月にスタートし、2025年まで4回開催されています。彼らの生まれ育った地元熊本県で自分たち主催のフェスを行うというのはWANIMAが「長年の目標にしてきたこと」の一つで、目標が実現したイベントです。地元を愛するWANIMAならではの「熊本を盛り上げたい」という気持ちと想いの強さが魅力のひとつとなっています。
ロック・フェスティバルと銘打っていますが、アイドルやレゲエやヒップホップなどの、様々なジャンルのアーティストも出演しています。

まとめ

アーティストが自らの名前を冠して主催するフェスは、単なるライブイベントを超えた存在になっています。氣志團万博やイナズマロックフェスのように“地域と結びつくフェス”もあれば、B’z presents UNITEやWESSION FESTIVALのように“アーティストの挑戦や新しい試み”を体現するフェスもあります。

ファンにとっては、普段のツアーやライブでは味わえない特別な空間を体験できるのが最大の魅力。そして音楽業界を志す就活生にとっては、アーティスト主催フェスこそ「企画力・運営力・地域戦略・メディア連動」といった業界の最新動向を学べる格好の場と言えるでしょう。今後も、アーティスト主催フェスは音楽シーンの重要な潮流として拡大していくと考えられます。音楽を楽しむ場としてだけでなく、アーティストの思想や業界構造を読み解くヒントとして、今後も注目すべき存在と言えるでしょう。