AP(アシスタントプロデューサー)とは番組制作において、プロデューサーの補佐を担うお仕事です。
今回は色々なジャンルがある中でも、スポーツ中継のAPがどのような仕事をしているのか解説していきたいと思います。
バラエティ番組などのAPの仕事内容に関しては、是非下記の記事をご覧ください。
★check!!➡アシスタントプロデューサー(AP)のお仕事内容徹底解説!
★check!!➡テレビのAPとは?仕事内容や求められるスキルを紹介
スポーツ中継にはAPはいない⁉︎
局にもよると思いますが、スポーツ中継ではプロデューサーの補佐的な役割をしているスタッフはAP(アシスタントプロデューサー)ではなく、デスクと呼ばれていることが多いです。
バラエティ番組などではAPとデスクは別々で業務内容も異なっていることがほとんどです。
デスクの主な仕事内容
ここからはスポーツ中継のデスクの主な仕事内容を紹介していきたいと思います。
ホテルの予約
<オリンピックなどの長期間の大会の場合>
スポーツ中継では大きい大会の放送がある場合、スタッフは局の近くのホテルをとって寝泊まりすることが多く、プロデューサーなど上の立場のスタッフからADまでかなりの人数の部屋を確保する必要があります。
ホテルを必要な部屋数予約し、誰をどこの部屋にするか割り当てるのはデスクの仕事になります。事前にホテルを利用する必要があるかどうかと必要な場合の期間をスタッフに確認します。「大会前日からホテルを利用したい」、「当日から利用したい」などスタッフの担当している競技のスケジュールによって人それぞれホテルが必要な期間も異なるので希望を聞いておきます。
毎回のことなのでホテル側もわかってくれてはいますが、局周辺のホテルとやりとりし、必要な部屋数、期間を確保してもらいます。また、立場が上の人はホテルのグレードが高いところにするなどの割り振りも行います。
<地方取材などの場合>
地方で選手のインタビューなどの取材が入った場合は急遽決まることもあるため、ADやディレクターが自分でホテルを探して予約することが多いですが、早い段階から決まっている時など、デスクがホテルを取ることもあります。
交通手段の予約
ホテルと同様、大きい大会の新幹線や飛行機など大人数の分手配する時はデスクがまとめて行います。
ADやディレクターが個別で行く取材などはそれぞれで手配してもらう場合も、デスクが手配する場合もどちらもあります。
お弁当の発注
オリンピックなどの大きい大会では期間中、毎日3食分のお弁当を発注する場合もあります。局内にいる中継担当のスタッフ全員分のお弁当を発注するのはデスクの仕事です。また、お弁当が届いたら各所振り分けて、取りやすいように並べておきます。
中継に関わるスタッフの人数はかなり多いですが、時間によって稼働しているスタッフの人数も異なるので、中継の放送時間などに合わせてお弁当の発注する量や内容を調整する必要があります。
例えば、中継の放送が朝からの場合、前日の夜から作業をしていたり、朝早くから出勤してくるスタッフが大勢いるので朝ごはんは全員に行き渡る数を発注する必要があります。逆に夜は放送も終了し、一旦帰宅するスタッフも多いため、次の日の準備担当の分だけなので少なめで良いなど放送スケジュールや放送内容の規模によって注文する量は変わってきます。
また、大会中は3食毎日お弁当になるので、朝はおにぎり、サンドイッチなどの軽食のお弁当、夜はボリューミーなお弁当にする、似たようなお弁当が続かないようにするなどの配慮も大切です。毎日お弁当が何か楽しみにしているスタッフもいるので、センスのいいお弁当を選んで喜んでもらえたら嬉しいですね!
お弁当は、時には実況や解説で来る出演者の方が食べることもあり、スタッフも食事を買いに行ったり食べに行く時間がない中で仕事をしているので、とても重要なものです。
注文する量も多いので、早めに注文して、個数なども念入りに確認し、頼み忘れや届かないなどのトラブルが起きないように注意しましょう。
清算
局によってやり方は違うと思いますが、基本的に買い出しやロケでのホテル、交通費などはディレクターやADが局のシステムを使って自分で清算できるようになっています。しかし、高額の注文や複数人の旅費などを請求書払いにして支払うこともあります。このような場合の請求書の処理はデスクが行います。
また出演者のギャラの交渉は基本的にプロデューサーが行いますが、ギャラの振り込みはデスクの仕事です。
出演者周りの準備
スポーツ中継では解説者としてスポーツ選手が来ることが多いですが、このような場合のスケジュール調整などのやりとりはプロデューサーか担当のディレクターが直接やりとりすることがほとんどです。
たまにゲストとしてタレントさんなどが来ることもありますが、この際の裏被り確認やスケジュール調整も基本的にプロデューサーが行います。
バラエティ番組などではこのようなやりとりをAPがやることも多いですが、スポーツ中継のデスクはマネージャーさんなどとやりとりすることはほぼないと言えます。
直接的なやりとりこそないですが、出演者を迎える上での控室の準備や飲食物の準備などはデスクが行うことが多いです。出演者の方のタクシーを手配したり、もし地方から来る場合は飛行機や新幹線などを取ったり、行き帰りの交通手段を手配することもあります。
海外出張の手続き
スポーツ中継のデスクの仕事の中で一番大変と言っても過言ではないのが海外などの大会に行く際の手続きです。
スタッフが海外で開催される大会の中継のために海外に行く場合、海外出張用のビザが必要となります。このビザの取得は現地に行くスタッフ全員分必要なのでデスクがまとめて申請しています。
現地に行くスタッフに期限までにパスポートのコピーを提出するよう伝え、漏れのないように、申請が間に合わないということがないように余裕を持って手続きする必要があります。
また、手続きが必要なのはスタッフだけではありません。海外出張で日本から機材などの大量な荷物を持ち込む際は、カルネ申請という手続きが必要となります。制作周りの荷物はADも協力しながら作業していきますが、この手続きは持ち込む物、全てを細かく記載する必要があるため、かなり大変な作業となります。船便と空便で申請期限なども異なるため、余裕を持って手続きすることが大切です。
海外ロケには欠かせないカルネ申請については、是非こちらの記事をご覧ください。
★check!!➡海外ロケには必ず必要!カルネ申請とは?
まとめ
今回はスポーツ中継でのAP的存在であるデスクの業務内容について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
番組制作のAPのイメージとは少し違う部分もありますが、控室の準備などは共通していたり、スポーツ中継ならではの業務もあったかと思います。
ここで取り上げたのは業務内容のほんの一部で細かいことを含めるとまだまだたくさんの業務があります。スポーツ中継のデスクは海外の大会に同行することもあるので、海外に行けるというのも、この仕事の魅力だと思います。
あまり目立つポジションではないかもしれませんが、デスクさんがいるおかげで中継が円滑に進む部分もあり、縁の下の力持ちと言える存在だと思います。